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連載講座 ヒトを知るモデル動物としてのゼブラフィッシュ-8
ゼブラフィッシュにおける社会的闘争行動の制御と脳の左右差
著者: 岡本仁1
所属機関: 1理化学研究所脳神経科学研究センター意思決定回路動態研究チーム
ページ範囲:P.78 - P.84
文献購入ページに移動要約 2匹のゼブラフィッシュの間での社会的な支配や服従を求める2者対立の戦いにおいて,背側手綱核から脚間核への2つの経路は,勝つか負けるかを促進する拮抗的な役割を果たす。これらの経路は,経験や空腹などの魚の内部状態の影響を受けて動的に変化し,回避的刺激や社会的闘争に対処するための最適な行動の選択に寄与している。更に,自己中心的(idiothetic)注意に基づく勝者としての振る舞いと,他者指向的(allothetic)注意による敗者の振る舞いを協調して制御する統合的スイッチボードとして機能している可能性がある。また,ゼブラフィッシュの手綱核の著明な構造的左右差は,攻撃と防御における右眼と左眼の使い分けとも関連する可能性が高い。
参考文献
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