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文献詳細

雑誌文献

生体の科学74巻2号

2023年04月発行

特集 未病の科学

Ⅰ.未病の数理研究

変分自己符号化器を用いた細胞状態遷移のゆらぎ解析と未病研究への応用

著者: 島村徹平12 小嶋泰弘2

所属機関: 1名古屋大学大学院医学系研究科システム生物学分野 2東京医科歯科大学難治疾患研究所計算システム生物学分野

ページ範囲:P.118 - P.122

文献概要

 未病とは,“発病には至らないものの健康な状態から離れつつある状態”を指す言葉である。近年,計測技術の進展により,ゲノムや遺伝子発現などの分子情報,イメージングによる画像情報など,多岐にわたる生命のデジタル情報の定量的な取得が可能となりつつある生命医科学分野では,未病を数理の観点から解明しようとする研究の重要性が高まりつつある。本稿では,特に,シングルセルトランスクリプトームデータから,われわれの体を構成する各々の細胞がとり得る状態が疾病の発症・進展を経てどのように移り変わっていくか,その変化の背後にあるイベントは何かを調べるRNA velocityモデルについての最新の研究動向を,筆者らが開発した細胞状態遷移のゆらぎ解析を交えて紹介する。更に,超早期の疾患の予測・予防や未病検知に向けて,これらの数理的アプローチがどのように活用できるかについて述べる。

参考文献

. 560:494-498, 2018
. 38:1408-1414, 2020
. 17:e10282, 2021
. 18:e1010492, 2022
. 40:111260, 2022
. 359:26-36, 2011
. 6:20698, 2016
. 19:259-271, 2014

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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