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特集 未病の科学 Ⅱ.未病の実験研究
数理解析のためのマイクロバイオームデータ
著者: 中岡慎治1
所属機関: 1北海道大学大学院先端生命科学研究院数理生物学研究室
ページ範囲:P.142 - P.146
文献購入ページに移動 近年,様々な疾患の発症に腸内細菌叢の変化が伴うという報告が数多く報告されている。潰瘍性大腸炎など腸内細菌叢が常在する腸管における炎症性疾患のみならず,近年では認知症のような他臓器においても,腸内細菌叢と細菌による代謝物が発症に影響することがわかってきた(脳腸相関)。細菌叢はサンプルに含まれる細菌由来のDNAを基に組成を推定するが,次世代シーケンサーによって得られた膨大な塩基配列データを対象とするため,計算機を用いた情報解析が不可欠である。加えて,情報解析を通じて得た数値データから疾患の状態や発症に寄与が疑われる細菌群を探索して適切な解釈を導くためには,目的に応じた統計・数理解析を適用する必要がある。本稿前半では,様々な数理解析手法を紹介する。後半では,教科書やチュートリアルで取り扱われる機会は少ないものの,数理解析結果の解釈に大きく影響し得る注意点を列挙することにより,とりわけマイクロバイオームデータを扱う数理科学研究者にとって有効な知見を伝えるのが目的である。
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