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特集 クロマチンによる転写制御機構の最前線 Ⅰ.分子レベル
クロマチン基本構造体,ヌクレオソームのダイナミクスと安定性
著者: 河野秀俊1
所属機関: 1量子科学技術研究開発機構量子生命科学研究所
ページ範囲:P.211 - P.216
文献購入ページに移動 真核生物のゲノムDNAは,タンパク質とDNAの複合体であるクロマチンの形で,細胞核内に収納されている。すべての細胞は,一部の例外を除いて同じDNA配列を保持しているが,細胞の種類によって発現している遺伝子が異なっている。どの遺伝子がオンになり,どれがオフになるかは,クロマチンの収納状態に大きく依存していることが明らかになりつつある。しかし,依然としてその収納状態を制御するしくみの解明には至っていない。
クロマチンは,ヌクレオソームと呼ばれる基本構造体が数珠つなぎになったものである。クロマチンには,ヌクレオソームが非常に密になった状態(遺伝子不活化状態)と疎になった状態(遺伝子活性化状態)が存在している。精密なゲノム解析から,ヌクレオソームを構成するヒストンタンパク質には多くのバリアントが存在することがわかっている。また,ヒストンタンパク質は翻訳後修飾を受けて化学状態を変える1)。したがって,単にヌクレオソームといっても,多種多様なヌクレオソームが存在している。更に,翻訳後修飾をターゲットにして,リモデラーなど多くのタンパク質がヌクレオソームに結合する。その構造は,クライオ電子顕微鏡の出現により次々と明らかにされつつある。本稿では,そのような多様なヌクレオソームの安定性や運動の違いを紹介する。
クロマチンは,ヌクレオソームと呼ばれる基本構造体が数珠つなぎになったものである。クロマチンには,ヌクレオソームが非常に密になった状態(遺伝子不活化状態)と疎になった状態(遺伝子活性化状態)が存在している。精密なゲノム解析から,ヌクレオソームを構成するヒストンタンパク質には多くのバリアントが存在することがわかっている。また,ヒストンタンパク質は翻訳後修飾を受けて化学状態を変える1)。したがって,単にヌクレオソームといっても,多種多様なヌクレオソームが存在している。更に,翻訳後修飾をターゲットにして,リモデラーなど多くのタンパク質がヌクレオソームに結合する。その構造は,クライオ電子顕微鏡の出現により次々と明らかにされつつある。本稿では,そのような多様なヌクレオソームの安定性や運動の違いを紹介する。
参考文献
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