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文献詳細

雑誌文献

生体の科学74巻4号

2023年08月発行

文献概要

特集 がん遺伝子の発見は現代医療を進歩させたか Ⅰ.がん遺伝子研究の新しい展開

BCR-ABLキメラ遺伝子の発見から慢性骨髄性白血病治療薬の開発・薬剤耐性の克服

著者: 塚原富士子1

所属機関: 1東京女子医科大学研究推進センター

ページ範囲:P.322 - P.326

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 慢性骨髄性白血病(CML)の原因分子であるBCR-ABLチロシンキナーゼは,9番染色体と22番染色体の相互転座により形成されたBCR-ABLキメラ遺伝子から形成される。2001年に分子標的薬の第1号として承認されたイマチニブは,BCR-ABLキナーゼ領域の結晶構造を基に開発された。CMLの治療においてイマチニブは画期的な治療効果を示したが,一部の患者では十分な効果が認められない薬剤耐性が臨床上問題となり,第2世代,第3世代のチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)が開発された。更に2022年には,BCR-ABLのアロステリック調節によりキナーゼ活性を阻害するspecifically targeting the ABL myristoyl pocket(STAMP)阻害薬が開発された。本稿では,CMLの原因としてAbl遺伝子の異常が発見されたことにより,有効な治療薬が開発されてきた経緯について紹介したい。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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