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特集 がん遺伝子の発見は現代医療を進歩させたか Ⅲ.先駆者による温故知新
著者: 徳永文稔1
所属機関: 1大阪公立大学大学院医学研究科医化学
ページ範囲:P.359 - P.364
文献購入ページに移動 1970年代,カリフォルニア工科大学のRenato Dulbeccoらによるレトロウイルスの研究,特にRous肉腫ウイルス(Rous sarcoma virus;RSV)の研究復興を機に腫瘍ウイルスが誘起する発がん研究が注目を浴びた。今日,各種接着細胞の培地として汎用されるDMEM(ダルベッコ変法イーグル培地)は,もともとDulbeccoらがポリオーマウイルス発がん研究用に,イーグル最小必須培地からアミノ酸とビタミン量を強化したものである。1975年,Dulbeccoとその学生であったHoward Martin Temin,同じくDulbeccoの指導を受けたDavid Baltimoreが,レトロウイルス増殖に必須な逆転写酵素(RNA依存性DNAポリメラーゼ)の発見によりノーベル生理学・医学賞を受賞した。その後もレトロウイルスが包含するがん遺伝子と宿主細胞に存在するがん原遺伝子の正常機能と異常に関する研究は,がんのみならず細胞生物学研究に莫大な貢献をした。
本稿では,TeminやBaltimoreが大いに関係する細網内皮症ウイルス(reticuloendotheliosis virus;REV)がコードするがん遺伝子のv-rel とc-rel との関連,およびRel相同性ドメイン(RHD)を持つNF-κBファミリータンパク質の構造と機能,疾患への寄与,創薬開発の現状について紹介する。
本稿では,TeminやBaltimoreが大いに関係する細網内皮症ウイルス(reticuloendotheliosis virus;REV)がコードするがん遺伝子の
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掲載誌情報