生体の科学74巻5号

2023年10月発行

増大特集 代謝

Ⅵ．代謝とオミクス解析

病原体ゲノム情報を考慮した感染症のゲノム解析

著者： 大前陽輔¹²

所属機関： ¹国立国際医療研究センターゲノム医科学プロジェクト（戸山） ²ナショナルセンター・バイオバンクネットワーク（NCBN）中央バイオバンク事務局

ページ範囲：P.502 - P.503

文献概要

　ゲノム解析による感染症の遺伝要因の探索において，ヒトに感染する病原体側のゲノムの多様性を考慮する必要性が明らかになってきている。筆者らは結核において，宿主である結核患者のヒト全ゲノム情報と病原体である結核菌の全ゲノム情報の両方を用いたゲノムワイド関連解析を，タイ人結核コホートにおいて世界で初めて実施した。その結果，特定の病原体群との遺伝学的相互作用が結核の病態形成に寄与していることが示唆されている。

参考文献

1）Omae Y, Tokunaga K：Tsunoda T, Tanaka T, Nakamura Y（eds）：Genome-Wide Association Studies, pp145-174. Springer, Singapore, 2019

. 2：e01123, 2013

. 49：666-673, 2017

. 10：2176, 2019

. 14：549, 2023