文献詳細
文献概要
特集 新組織学シリーズⅣ:骨・軟骨 Ⅱ.骨格系と他システムとの連関
骨髄で造血幹細胞と造血を維持する微小環境(ニッチ)
著者: 長澤丘司12
所属機関: 1大阪大学大学院生命機能研究科 2大阪大学大学院医学系研究科
ページ範囲:P.544 - P.549
文献購入ページに移動造血のニッチ細胞の候補としては,1976年にWeissが電子顕微鏡を用いて観察した毛細血管の外側を取り囲む外膜細網細胞(adventitial reticular cells)2),1977年にDexterらが報告した,骨髄細胞の培養で未分化な血液細胞を3か月以上維持する培養容器の底面を覆うストローマ細胞3)が考えられたが,これらの細胞の機能や細胞種は不明であった。しかし,2000年代になり,幾つかの候補細胞が報告され,そのなかで,骨髄特異的な間葉系幹細胞であるCAR細胞4)が,造血幹細胞と造血のニッチ細胞の主体であることが明らかになった。最初に注目された骨芽細胞の造血における役割は不明である。本稿では,骨髄における造血幹細胞のニッチ細胞について,学術的な考察を加えて概説する。
参考文献
掲載誌情報