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文献詳細

雑誌文献

生体の科学74巻6号

2023年12月発行

文献概要

特集 新組織学シリーズⅣ:骨・軟骨 Ⅲ.骨・軟骨疾患のメカニズム

iPS細胞を用いた骨軟骨分化研究

著者: 戸口田淳也12 川井俊介1 鎌倉武史2 金永輝2

所属機関: 1京都大学iPS細胞研究所 2京都大学医生物学研究所

ページ範囲:P.579 - P.584

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 iPS細胞とは,DNAメチル化などによって制御された分化細胞における遺伝子発現制御機構を複数の転写因子を強制発現させることで解除して,胚性幹細胞と同等の状態とすることによって作製された人工多能性幹細胞である。2007年にヒトiPS細胞の樹立が報告されてから16年が経過し,その間に様々な生命科学の領域でiPS細胞を活用した基礎研究や応用研究が進められており,骨軟骨領域においてもiPS細胞由来軟骨細胞を用いた再生治療の臨床研究が実施されている1)。筆者らはiPS細胞のもう1つの臨床応用である創薬への応用に関して,難治性の遺伝性骨軟骨疾患を対象として研究を展開し,進行性骨化性線維異形成症(fibrodysplasia ossificans progressiva;FOP)において病態解明から治療薬候補を同定して2,3),医師主導治験の実施に至った4)。これらの研究では骨軟骨細胞の分化過程をin vitroで再現し,疾患由来細胞の分化能を評価することを試みたが,その過程において,増殖能と分化能を携えたiPS細胞を用いることで,初めて観察することができた興味深い結果を得た。本稿では,膜性骨化と内軟骨性骨化という2つの骨化過程に関連する成果を紹介する。

参考文献

1)限局性の膝関節軟骨損傷患者を対象とした自己軟骨細胞加工製品(IK-01)の安全性ならびに有効性に関する医師主導治験.UMIN000008171
. 112:15438-15443, 2015
. 127:3339-3352, 2017
4)進行性骨化性線維異形成症に対するNPC-12Tの多施設共同無作為化二重盲検比較試験及び多施設共同非盲検継続投与試験.UMIN000028429
. 9:e112291, 2014
. 580:124-129, 2020
. 5:926-940, 2021
. 3:558-570, 2019
. 13:1094, 2023
. 10:812094, 2022
. 16:610-625, 2021
. 7:e10737, 2023

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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