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特集 脳と個性
特集「脳と個性」によせて
著者: 大隅典子1
所属機関: 1東北大学大学院医学系研究科発生発達神経科学分野
ページ範囲:P.2 - P.2
文献購入ページに移動 “個性”とは何だろう? どのようにして生まれるのだろう? そのような問いを持ったのがいつごろからだったのかよく思い出せない。しかし,少なくとも自閉スペクトラム症(ASD)などの神経発達症のメカニズムを研究対象にしたいと考えた2000年代後半には,たびたび自分の脳の中に浮かんでは消える命題であった。例えば,ASDの特性を持つ方は多様な症状を合併するが,それは一人ひとり異なっている。動物モデルを用いてメカニズムを理解したいと願う基礎科学者にとって,これはやっかいな問題だ。近代科学では,なるべく“ばらつき”を排除し再現性の高いデータを得て,普遍的な原理を解明するのが王道である。しかし,天邪鬼な筆者は“ばらつき”にも意味があると思っていた。
より真剣に考えるきっかけとなったのは,2016年から開始した「多様な『個性』を創発する脳システムの統合的理解(『個性』創発脳)」という文部科学省科学研究費新学術領域の立ち上げであった。人文系,生物系,理工系の研究者が集まった学際的な研究グループによって,“個性学”を打ち立てることを目指した5年だった。その成果については,『個性学入門 個性創発の科学』という書籍を朝倉書店より上梓することによって領域全体として一つの結実となったが,筆者らの研究室の実りとしては,2022年の論文が到達点と言える(本特集の「脳の発生・発達と“個性”」参照)。
より真剣に考えるきっかけとなったのは,2016年から開始した「多様な『個性』を創発する脳システムの統合的理解(『個性』創発脳)」という文部科学省科学研究費新学術領域の立ち上げであった。人文系,生物系,理工系の研究者が集まった学際的な研究グループによって,“個性学”を打ち立てることを目指した5年だった。その成果については,『個性学入門 個性創発の科学』という書籍を朝倉書店より上梓することによって領域全体として一つの結実となったが,筆者らの研究室の実りとしては,2022年の論文が到達点と言える(本特集の「脳の発生・発達と“個性”」参照)。
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