文献詳細
特集 脳と個性
Ⅲ.“個性”の実験的理解
文献概要
ヒトの個性はどのようにして決まるのだろうか。われわれヒトを含む生物は,遺伝子情報に基づいてその生命体を構成・維持している。しかし,ヒトの個性を決めるのは単に遺伝子情報だけではない。がん家系に生まれた人でも,お酒やたばこを控えるなど周囲の環境を改善することでがんにならずに済む人もいる。近年,われわれの体を構成する細胞には,DNAの配列変化を伴わずに,遺伝子発現の強弱あるいはオン/オフを制御するしくみが存在しており,その制御は環境要因によって動的に変化することが科学的に明らかになってきた。この制御を“エピジェネティクス”と呼び,遺伝子配列情報だけでは理解できない事象を理解するために非常に重要である。本稿ではエピジェネティクスの概要と,それが生み出すと考えられる個性について紹介する。
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掲載誌情報