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特集 生命現象を駆動する生体内金属動態の理解と展開
特集「生命現象を駆動する生体内金属動態の理解と展開」によせて フリーアクセス
著者: 神戸大朋1 古川良明2
所属機関: 1京都大学大学院生命科学研究科 2慶應義塾大学理工学部
ページ範囲:P.100 - P.100
生体内金属動態に関わる分子として,金属イオンを細胞内に取り込む膜タンパク質(トランスポーター)や,細胞内で金属イオンを運搬するタンパク質(金属シャペロン)が,1990-2000年代においてモデル生物を用いた遺伝学的解析を中心に数多く同定された。その後,生体内で特異的に金属を検出できる蛍光プローブの開発が進み,金属動態の理解は飛躍的に進展した。これらの進展と同時に,生命現象において重要な役目を担う微量金属の作用や細胞内動態をタンパク質レベルで解析できるようになり,分子・細胞・個体レベルでの金属の役割を議論できる素地が確立されつつある。一方で,亜鉛過剰が銅欠乏を引き起こし,その結果鉄欠乏(貧血)となるように,多くの金属はお互いに影響を及ぼし合っていることも示されることとなり,結果として,幾つもの問いが新たに現れてきた。「細胞内では,これら多数の金属結合タンパク質の機能を,必要に応じてどのように正しく制御しているのであろうか?」もその一つである。生命金属研究は,様々な生命現象を真に理解するには避けて通ることのできない普遍的な問いへの挑戦であり,今まさに進展させるべき研究領域となっている。
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