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文献詳細

雑誌文献

生体の科学75巻2号

2024年04月発行

解説

—第2回生体の科学賞 受賞記念論文—本態性高血圧発症の脳内機構 フリーアクセス

著者: 野田昌晴1

所属機関: 1東京工業大学科学技術創成研究院生体恒常性研究ユニット

ページ範囲:P.176 - P.183

文献概要

 高血圧は日本の成人の約4,000万人が罹患しており,児童においても年々増加傾向がみられる。高血圧は心血管病の最大の危険因子であり,毎年約10万人が高血圧を原因とする脳卒中や循環器病によって亡くなっていると推定される。日本人の高血圧のほとんど(〜90%)は原因不明の“本態性高血圧”(“一次性高血圧”とも呼ばれる)である。高血圧の治療には,利尿剤,血管拡張剤,神経遮断薬や,アンジオテンシンⅡ(AngⅡ)などの血圧上昇作用物質の生成,作用を抑える降圧剤が用いられるが,その効果には限界がある。

 高血圧は食塩の過剰摂取,肥満,精神的ストレス,睡眠時無呼吸,加齢など,様々な要因で起こることがわかっている。様々な要因で起こる高血圧の発症機序を合理的に説明するため,最近15年あまりの間に,交感神経制御中枢の恒常的活性化による末梢血管系や心臓・腎臓機能の変調がその根底にあると考えられ始めた(神経性高血圧)。本稿では,交感神経系の恒常的活性化をもたらす原因とそのメカニズムについて最近の知見を概説する。

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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