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文献詳細

雑誌文献

生体の科学75巻4号

2024年08月発行

文献概要

特集 シングルセルオミクス Ⅱ.各分野におけるシングルセルオミクス解析の現状

がん研究におけるシングルセル解析の実際と最近の動向

著者: 鈴木絢子1 善光純子1 鈴木穣1

所属機関: 1東京大学大学院新領域創成科学研究科メディカル情報生命専攻

ページ範囲:P.324 - P.328

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 がん細胞はその進展に伴い,周囲の環境・ストレスに適応して増殖していく。そのため腫瘍組織を構成するがん細胞は,ゲノム変異や遺伝子発現異常をはじめとした多様なオミクスステータスを有している。また,腫瘍組織は,がん細胞だけでなく周囲の免疫細胞や線維芽細胞といった様々な細胞種から成り立っており,これらはがん細胞と相互に影響し合っている。このような,腫瘍内不均一性・腫瘍微小環境の状態を網羅的に計測するためには,1細胞ごとの詳細なオミクス解析を行うことが重要である。最近では,ホルマリン固定パラフィン包埋(formalin-fixed paraffin-embedded;FFPE)検体を利用したシングルセル解析も行われており,保管されている貴重な臨床検体などを含む,より幅広いタイプの腫瘍検体を用いた解析が進むのではないかと期待されている。更には,細胞の空間情報・病理組織学情報を考慮した空間的遺伝子発現解析についても,がん研究への普及が飛躍的に進んでおり,1細胞レベルでの計測が可能となっている。

 本稿では,シングルセル解析技術を活用した腫瘍研究分野における研究報告を紹介しつつ,最近の技術発展について概説したい(図)。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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