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増大特集 学術研究支援の最先端 Ⅱ.先端モデル動物支援プラットフォーム(AdAMS) ⅱ.病理形態解析支援
mTOR亢進で惹起される多発性囊胞腎モデルマウスを用いた新しい疾患治療標的の探索
著者: 塚口裕康1
所属機関: 1関西医科大学第二内科学腎臓内科学
ページ範囲:P.452 - P.453
文献購入ページに移動 多発性囊胞腎は1,000人に1人が発症し,腎不全へと進行する遺伝性腎疾患で,透析導入原因の第4位である。筆者らは多発性囊胞腎の新たな治療開発をするために,囊胞形成抑止のactionable標的として,細胞増殖とエネルギー代謝との統合的な共役を担うマスター制御因子,mTORの役割に着目し,その解明を目指している。まずPKDの疾患モデルとして,mTOR活性がネフロン形成過程(E15-P14)の遠位尿細管上皮において亢進するCd79a-Tsc1 KOマウスを作製した(図A, B)。Cd79a-Tsc1 KOの尿細管には,生後1か月までにヒトPKD病像の形態・分布に合致する病変が出現した。囊胞形成前(pre-cystic tubule)の尿細管上皮には,水平面極性の乱れが観察され,ネフロン形成過程での極性制御不全が囊胞形成の引き金となる可能性が示唆された。
参考文献
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