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文献詳細

雑誌文献

生体の科学75巻5号

2024年10月発行

文献概要

増大特集 学術研究支援の最先端 Ⅳ.先進ゲノム解析研究推進プラットフォーム(PAGS) ⅱ.情報解析支援ネットワーク

深層生成モデルによる細胞間コミュニケーション解析

著者: 島村徹平12 小嶋泰弘3

所属機関: 1東京医科歯科大学難治疾患研究所計算システム生物学分野 2名古屋大学大学院医学系研究科システム生物学分野 3国立がん研究センター研究所計算生命科学ユニット

ページ範囲:P.528 - P.529

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 細胞間コミュニケーションは,生体システムの機能と恒常性を維持するうえで極めて重要な機構である。これは主に,細胞から分泌されるリガンド(ホルモンや成長因子など)と,細胞膜表面に存在するレセプタータンパク質との相互作用によって媒介される。この精緻な相互作用システムにより,細胞は周囲の微小環境の変化に適切に応答し,協調的に機能することが可能となる。しかし,このシステムの破綻は,制御不能な細胞増殖や組織炎症など,様々な病態の引き金となり得る。近年,1細胞トランスクリプトームや空間トランスクリプトームなど,網羅的な遺伝子発現プロファイル観測技術が飛躍的に進歩した。これに加え,レセプターとリガンドの相互作用に関する知見が蓄積されてきたことで,特定の組織内における細胞間相互作用ネットワークをデータ駆動的に推定するための基盤が整いつつある。本稿では,筆者らが開発した情報科学的解析技術“DeepCOLOR”1)について詳述する。この手法は,1細胞トランスクリプトームデータや空間トランスクリプトームデータを基に,細胞間相互作用ネットワークを推定するものである。以下,具体例を交えながら,その概要と応用について紹介する。

参考文献

. 15:180-192.e7, 2024
. 2013, doi:10.48550/arXiv.1312.6114
. 1:100071, 2021
. 103:105102, 2024

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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