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文献詳細

雑誌文献

生体の科学75巻6号

2024年12月発行

特集 新組織学シリーズⅤ:脂肪

Ⅰ.脂肪細胞の基礎

熱産生脂肪細胞と酸化還元バランスの関係

著者: 池田賢司1

所属機関: 1東京科学大学大学院医歯学総合研究科分子内分泌代謝学分野

ページ範囲:P.559 - P.563

文献概要

 エネルギーを貯蔵する白色脂肪細胞に対し,熱産生脂肪細胞が熱産生を増加させ,全身の代謝を制御する役割を持つことがこれまでの研究で明らかにされている。ミトコンドリアの酸化的リン酸化と細胞代謝の副産物である活性酸素種(reactive oxygen species;ROS)は,細胞の生存,増殖,損傷,老化と関連する。近年,脂肪組織におけるROSレベルや酸化還元状態が,肥満や代謝性疾患と強く関連していることが明らかになっている。従来,活性酸素の過剰産生と抗酸化能の低下が酸化ストレスを引き起こし,脂肪増加の一因となる可能性があると考えられていたが,最近の研究では,適度な量の活性酸素が脂肪細胞の分化と熱産生を誘導することが示されている。本稿では,熱産生脂肪細胞と酸化還元バランスと代謝疾患の関連について最新の知見を概説する。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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