icon fsr

文献詳細

雑誌文献

生体の科学75巻6号

2024年12月発行

特集 新組織学シリーズⅤ:脂肪

Ⅲ.脂肪組織由来ホルモン

アディポネクチンによる臓器保護作用

著者: 長尾博文12 西澤均12 下村伊一郎1

所属機関: 1大阪大学大学院医学系研究科内分泌・代謝内科学 2大阪大学大学院医学系研究科代謝血管学寄附講座

ページ範囲:P.579 - P.582

文献概要

 脂肪組織は,アディポサイトカインと呼ばれる様々な生理活性物質を産生・分泌する内分泌臓器であることが明らかになっている。肥満・内臓脂肪蓄積状態では,tumor necrosis factor-α(TNF-α)1)やplasminogen activator inhibitor-1(PAI-1)2)といった脂肪細胞由来の炎症性,血栓性生理活性物質の産生が増加し,脂肪組織の炎症,インスリン抵抗性や血栓形成へとつながる。一方で,脂肪細胞特異的分泌因子であるアディポネクチンは,抗動脈硬化作用をはじめ,インスリン感受性増強作用や抗炎症作用など,多彩な臓器保護作用を有しているが,肥満・内臓脂肪蓄積に伴い血中濃度が低下する3,4)。最近筆者らは,膜タンパク質であるT-カドヘリンがアディポネクチンと高親和性に結合し,種々の細胞でエクソソーム産生・分泌を増加させ,様々な臓器保護作用に結びついていることを明らかにした(図)。本稿では,アディポネクチンおよびその結合パートナーであるT-カドヘリンを介した作用機構について,筆者らの教室での研究も含め最新の知見を紹介する。

参考文献

. 259:87-91, 1993
. 2:800-803, 1996
. 257:79-83, 1999
. 70:663-675, 2023
. 221:286-289, 1996
. 292:4469-4483, 2017
. 101:10308-10313, 2004
. 156:934-946, 2015
. 292:7840-7849, 2017
. 60:2417-2423, 2011
. 31:1571-1583, 2017
. 120:4342-4352, 2010
. 288:24886-24897, 2013
. 12:4159, 2022
. 320:E179-E190, 2021
. 3:e99680, 2018
. 9:16, 2019
. 28:2203-2219, 2020
. 299:105114, 2023
. 14:3620, 2024

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら