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文献詳細

雑誌文献

生体の科学75巻6号

2024年12月発行

特集 新組織学シリーズⅤ:脂肪

Ⅳ.脂肪組織の機能変容

脂肪組織インスリン抵抗性とMASLD/MASH

著者: 細岡哲也1

所属機関: 1静岡県立大学大学院薬食生命科学総合学府栄養生理学研究室

ページ範囲:P.583 - P.588

文献概要

 脂肪組織は,摂食と絶食などのエネルギー状態の変化に伴うエネルギー出納とアディポネクチンやレプチンといったアディポカインの産生調節により,脂肪組織と他臓器との臓器間相互作用を制御し,全身の代謝調節に極めて重要な役割を果たす。一方,過栄養や運動不足などが誘因となり,脂肪組織の量的・質的な変化が生じると,脂肪組織が機能不全に陥ることにより,全身のインスリン抵抗性や糖尿病などの代謝疾患が生じるが,脂肪性肝疾患(metabolic dysfunction-associated steatotic liver disease;MASLD)/脂肪性肝炎(metabolic dysfunction-associated steatohepatitis;MASH)の病態にも,このような脂肪組織の機能不全が密接に関与するものと考えられている。

 インスリンは,脂肪組織の機能制御の多くの局面で中心的な役割を担っており,脂肪組織におけるインスリン作用障害,すなわち脂肪組織におけるインスリン抵抗性は,脂肪組織の機能不全を惹起する重要な因子と考えられる。本稿では,脂肪組織におけるインスリンシグナルの鍵キナーゼPDK1と下流の転写因子FoxO1経路異常によるMASLD/MASHのメカニズムを中心に概説する。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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