文献詳細
特集 新組織学シリーズⅤ:脂肪
Ⅴ.肥満の病態と併発疾患
文献概要
Developmental Origins of Health and Disease(DOHaD)学説とは,出生前後の様々な環境による影響が“記憶”され,成人期における肥満症,2型糖尿病などの生活習慣病の発症および進展を規定するという学説である1)。母体の低栄養が児の成長後の生活習慣病の発症リスクを高めることを明らかにしたDutch famine study(オランダ飢餓研究)をはじめとする疫学研究2,3)や様々な動物実験を用いた基礎研究4-6)がDOHaD学説の正当性を裏づけている。DOHaD学説の分子機構としてエピジェネティクス,特にDNAメチル化による長期の遺伝子発現制御が想定されている。本稿では,胎生期から乳児期における栄養環境が,どのようにDNAメチル化を介したエピゲノム記憶となり,また個々に形成されたエピゲノム記憶がどのように成人期の肥満に影響を及ぼし得るかについて,筆者らの研究知見を紹介する。
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掲載誌情報