文献詳細
文献概要
綜説
膜の透過性の一断面—Hodgkinの仕事を中心として
著者: 山本三三三1
所属機関: 1京都大学理学部化学教室
ページ範囲:P.50 - P.59
文献購入ページに移動 1.はじめに
生物物理学というロマンチツクな,魅惑的な学問が人の話題に上るようになつたのはまだ最近の事である。今迄無生物界の現象に閉ぢこもつていた物理屋が生物に目をつけた理由はいくらもあるであろうが,生命現象をも含む,広い自然の"原理"を見出そとういう野望がその第一のものであろう。そして,不可逆現象などの一般論はさておいて,物質に直接結びついた物性論の立場から,先づ自分達に通合のよい現象を含む一つの問題として筋肉を取上げたのであつた。
しかし,高分子物理学の基礎の上に立ち,人工筋肉等の資料に恵まれ,真しな研究欲に推進されながらも,一寸でもその機構の中に立入ろうとするとたちまち生命の神秘の壁につき当つて動きが取れない状態である。
生物物理学というロマンチツクな,魅惑的な学問が人の話題に上るようになつたのはまだ最近の事である。今迄無生物界の現象に閉ぢこもつていた物理屋が生物に目をつけた理由はいくらもあるであろうが,生命現象をも含む,広い自然の"原理"を見出そとういう野望がその第一のものであろう。そして,不可逆現象などの一般論はさておいて,物質に直接結びついた物性論の立場から,先づ自分達に通合のよい現象を含む一つの問題として筋肉を取上げたのであつた。
しかし,高分子物理学の基礎の上に立ち,人工筋肉等の資料に恵まれ,真しな研究欲に推進されながらも,一寸でもその機構の中に立入ろうとするとたちまち生命の神秘の壁につき当つて動きが取れない状態である。
掲載誌情報