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神経線維の電気的刺激に関する坂本の理論の解説
著者: 上田五雨1
所属機関: 1東大生理
ページ範囲:P.88 - P.90
文献購入ページに移動 Nernstの電気刺激理論では,通電によつて半透過性の境界膜と原形質との間に分極が生じ,その限界層におけるイオン又は塩類の濃度の変化がある一定値に達した時,興奮が起るということを仮定している。その際,分極起電力即ち電流と反対の方向の起電力は極めて小さくそれによつて刺激電流の形は変らないとみなしている。所が刺激電流を便宜上(1)刺激効果をひき起す電流及び(2)刺激効果に直接関係しない電流にわけて考えるとき,前者においては分極起電力を顧慮せねばならぬことが分る。模式的にこの関係を示せば第1図のようになる。
第1図でvは2点A,B間にある一定の電位差,Jは枝分れしない部分Rを流れる刺激電流の強さ,i及びγ1は刺激効果をひき起す電流の強さ及びその部分の抵抗,v′は神経線維の刺激部位に起る分極起電力,γ2は刺激効果に直接関係しない短絡となる部分の抵抗であつて,残余流(Reststrom)もその部分を流れるとみなす。
第1図でvは2点A,B間にある一定の電位差,Jは枝分れしない部分Rを流れる刺激電流の強さ,i及びγ1は刺激効果をひき起す電流の強さ及びその部分の抵抗,v′は神経線維の刺激部位に起る分極起電力,γ2は刺激効果に直接関係しない短絡となる部分の抵抗であつて,残余流(Reststrom)もその部分を流れるとみなす。
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