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論述
電気刺激分析装置Electrostimuloanalyzerについて
著者: 鈴木正夫1 本間三郎1
所属機関: 1千葉大学医学部生理学教室(第1講座)
ページ範囲:P.162 - P.174
文献購入ページに移動電気刺激法は生物実験上欠くことのできない大切な手段であるが,単に生体を刺激するというだけでなく,刺激というものに生理学的意義なり価値を持たせる方法を採ることが研究にとつて重要なことである。電気刺激を生体に対する刺激の代表とし,その興奮を来たさしめる作用を刺激作用と呼ぶならば,刺激作用に有意なる要素を見出すことができる。要素には刺激の強さ,刺激の与えられている時間,刺激の強まりの傾きがあつて,これらは強さ,時間,傾き要素と呼ばれている1)。従来電気生理学研究ではこれら刺激作用を研究することが,その主体をなしておつたが,電子管技術の進歩は生体の発電現象の研究に集中され,ともすればこの方面の研究は等閑に付された憾みがあつた。即ち脳,心,筋電図において,研究は生体内発電を記録することであつて,臨床応用にまで及んでいる。それら各電図において発電興奮の根源である刺激は生体内に所謂自発性のものであつて,外界より人為的に加えられた刺激によつて起された興奮ではないのである。
生物の電気現象の研究にては発電現象の記録解析と共に,そのとき加える電気刺激を適当に加変案配し両者相伴つて行われる必要を痛感するものである。電気刺激も生体内におけると同じ状態に与え得るならば,且つその刺激の要素を同時に測定し得るならばこの面の研究進歩に貢献するであろうと考えられるのである。
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