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雑誌目次

雑誌文献

生体の科学8巻6号

1957年12月発行

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第7回 綜合医学賞入選論文

蛙嗅脳に見られる腦波の発生機序に就いて

著者: 高木貞敬 ,   大村裕

ページ範囲:P.297 - P.306

 自発的且週期的な遅電位が動物及び人間の脳や神経細胞群に見出されてから既に半世紀になる。Beck5)は家兎,犬の脳に一対の電極を置き,呼吸や脈搏と無関係な自然的電位変動を見出した。Prawdicz-Neminski38)はクラーレを注射した犬の脳に就て自発的電位変動を研究しElektrocerebrogrammと命名した。Berger6)は1929年以来人間の脳においてもかゝる電位変動の存在することを証明し,Elektroercephalogrammと命名して今日の人脳波研究の端緒をひらいた。他方下等動物においても同様な電位変動が研究せられた,即ちAdrian1)はゲンゴロウの剔出した神経索で,又AdrianとBuytendijk2)は金魚の脳についてその存在を証明した。其の後殆んどあらゆる種類の動物に就いてかゝる遅電位が証明せられている。

哺乳類頸部交感神経節の活動に及ぼすブドー糖及びカリウムイオンの作用の比較研究

著者: 大村裕

ページ範囲:P.307 - P.321

 哺乳類の交感神経節を摘出して酸素を飽和したタイロード液中に入れておくとその機能は48時間以上保たれる(Larrabee,RamosとBülbring1950,1952;LarrabeeとBronk,1952;Eccles1952,1955;BrownとPascoe,1952)。機能とは節前線維の刺戟によつて発生した衝撃がシナツプスを通つて節後線維にまで伝導されることをいう。タイロード液中のブドー糖を除外すると,然しながら2〜3時間位でシナツプス伝達のみならず節前線維の反応まで殆んどなくなつてしまう。ブドー糖を加えて機能の回復を見てみると,ブドー糖欠除(GL)液に曝す時間が長いほど回復はしにくくなる,つまり不可逆的である(LarrabeeとBronk,1952;LarrabeeとHorowicz,1956;HorowiczとLarrabee,1956)。正常の外液中では起らないのに,GLにすると神経節からアンモニアが発生してくる(Larrabee,Horowicz,StikolとDorivo,1956)が,然しながら酸素消費の方は殆んど影響をうけない(LarrabeeとBronk,1952;Larrabeeと共同研究者,1956)。之等の事柄は外部から加えられたブドー糖の代謝が交感神経節の正常機能を維持するのに必須のものであり,ブドー糖の補給が断たれた後はアミノ酸等の含窒物質が分解されることを示すものと考えられる。

末梢循環の動搖性に関する研究

著者: 上田五雨

ページ範囲:P.321 - P.333

 第一報 正常人のプレチスモグラムについて 末梢循環の動態をしらべる方法として,プレチスモグラフは古くから用いられているが,その割には完全な記録法が発達していなかつた。機械的方法によるものは感度が悪くて正常時の曲線の採取には不適当であり,電気的又は光学的方法はやや煩雑の嫌いがある。そのため,正常時曲線に関する知見は極めて乏しかつた。正常人の身体末梢部,即ち手指,足趾,耳等から採取した自然性容積変動曲線については,心臓性,呼吸性変動の他に,Burch等1)の云うα波,β波,γ波の存在だけが知られているにすぎない。又後三者の発生機構に関しては,神経系及び血圧との関連が推測されるに止まり,その実証を欠き,特にα波については生理学的実在性も断言できてはいなかつた。所が,最近吾々のグループが行つた従来と異なる方法によると,2)3)極めて簡単に,而もより高感度且つ歪みなしに,此等の波が記録されることが分つた。その上,曲線を分析した結果,これ迄注目されていなかつた幾多の波の存在することも確認し得た。尚,同時に行つた種々の実験操作により,この現象の生理学的機構の解明に役立つ所見も2,3得られた。ここには先ず,正常時のプレチスモグラムについて記述する。

白ねずみ白血球の硝子器内生活に於ける代謝様式の変化と其の意義

著者: 八木舎四

ページ範囲:P.334 - P.349

 緒言及び実験方法
 生物が示す機能的変化や形態学的変化の間には密接な相関がある筈であるから,この問題に少しでも解明を得たいと思つたのが此の研究の動機である。
 白血球は,次の理由から,此の研究目的に好個の実験材料である。

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生体の科学 第8巻 総目次

ページ範囲:P. - P.

基本情報

生体の科学

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1883-5503

印刷版ISSN 0370-9531

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