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高電圧濾紙泳動法によるアミノ酸定量法の基礎的検討
著者: 赤井貞彦1 若佐理1 植木光衞1 栗山健二1 菅野浩2 渡辺イク2
所属機関: 1新潟大学医学部外科教室 2新潟大学理学部化学教室
ページ範囲:P.27 - P.33
文献購入ページに移動従来の濾紙泳動法は主として高分子化合物即ち,医学領域では体液蛋白質を対称とし,電圧は5〜20v/cmの低電圧を用うるものであつたが,1951年Michl1)2)は50v/cmの高電圧を使用する事によりアミノ酸の如き低分子化合物を短時間に,しかも鋭敏に分画し得ると発表した。1954年Sanger3)は本法を用いてinsulin分子を構成するpeptide鎖のアミノ酸配列順序を明らかにし,同年Heilmyer,佐野4)12)等は更に高電圧(60〜120v/cm)を用いて血清,尿等の残余窒素の分析に応用した。又,Kraus & Rehn5)(1957)は外科的疾患における血液及び臓器のアミノ酸の変動の把握に本法が有力な手段である事を指摘した。
現在臨牀的にアミノ酸混合系を迅速簡単に,しかも綜合的に把握し得る適当な分析法がないためにこの高圧濾紙泳動法には大きな期待が寄せられるが,上述の諸報告には本法は何れも定性分析或はせいぜい半定量分析として用いられている。著者等は本法の臨牀的応用を計画するにあたり2,3の基礎的問題について検討した結果之を従来の濾紙泳動法と同様定量法として使用出来る事が明らかとなつたので,その詳細は後報に譲ることとし,概略をここに報告する。
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