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単一有髄神経線維の活動電位の新しい導出法について
著者: 島田久八郎1
所属機関: 1新潟大学医学部生理学教室
ページ範囲:P.34 - P.36
文献購入ページに移動有髄神経線維の活動電位の測定には従来次のような三つの方法がとられてきた。(1)単一神経線維の活動電流を低抵抗の短絡を通して測定し,短絡抵抗と神経線維の抵抗より活動電位を推定する。(2)Huxley and Stämpfli1)は活動電位を打消すに必要な矩形波の電圧より測定している。しかし以上二つの方法は誤差が多い。活動電位の絶対値の測定とともに真の形を記録しながら種々の実験を行うことはより望ましい。それで,(3)現在色々の組織で行はれている超微少電極による細胞内誘導が,Woodbury2),Tasaki3)及びCoraboeuf4)等により,有髄線維に応用されている。しかしこの方法では数分にして電極による傷害が現れ活動電位の形が変化してきて,時間のかかる実験には適さない。
Tasaki and Frank5)はさらに新しい方法で活動電位を測定している。その原理を第1図で示す。Bのラ氏絞輪N1で興奮がおこると活動電流はN1より,軸索,N2,髄鞘部の外側を通つてN1に帰る。Aでこれの等価回路をしめしたが髄鞘部の外側の抵抗R0で生ずる電圧降下分を増幅記録する。ここで髄鞘部が空気中で充分乾燥し,R0が軸索の抵抗Riに比していくらでも大きくなれば,それだけ記録される電位はN1の活動電位の絶対値にいくらでも近ずく。
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