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文献詳細

雑誌文献

生体の科学9巻4号

1958年08月発行

文献概要

論述

赤血球の酸素化の速度について

著者: 望月政司1

所属機関: 1北海道大学応用電気研究所

ページ範囲:P.265 - P.272

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 赤血球内のヘモグロビン(Hb)がどのような速さで酸素化されるかということは,単に生理学領域の問題に止まらず,臨床医学上大変重要な問題である。というのはそれが,肺の毛細管の中でHbがどの程度の速さで酸素化されるかという問題に関聯しているからである。
 1909年にBohr3)は肺に於ける酸素の拡散速度を決める定数としてdiffusing capacityと呼ばれる拡散定数を呼吸生理に導入した。この定数は簡単に述べれば,一分間の酸素摂取量を肺胞内のO2-分圧と毛細管血のO2-分圧の差の接触時間での時間平均で割つたものである。肺に於いて酸素が赤血球を酸素化する過程には毛細管壁を通しての拡散と結合反応を含めた赤血球内部での拡散が主として,酸素化の速度を決めるものと考えられる。従つてBohrの提唱したdiffusing capacityの中には毛細管壁の因子と赤血球の因子の2つが含まれる。Bohrの理論では後者の因子は問題にされていないが,最近Roughton及びその協同研究者達6)21)はCOを用いてのdiffusing capacityの測定から赤血球の因子の方が酸素化の速度を決める上に効果的であると述べている。Roughton7)21)等も述べているが,肺のdiffusing capacity DLは2つの因子を用いて表現すると,次のようになる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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