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文献詳細

雑誌文献

生体の科学9巻5号

1958年10月発行

文献概要

綜説

赤血球の酵素

著者: 黒田嘉一郎1

所属機関: 1徳島大学医学部生化学教室,徳島大学酵素研究所

ページ範囲:P.298 - P.308

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 まえがき
 哺乳類の成熟赤血球は核を失つて生命の単位としての細胞の条件を欠いているため,はたして生きているのか疑われて来た。赤血球の主要生理作用は酸素,炭酸ガスの運搬であるから生きた細胞というよりもヘモグロビンを入れておく単なる袋と考えられていた。
 ところが,臨床医学において輸血のための保存血の研究が盛んとなり,クエン酸加血にブドウ糖を加えると安定になつて長期間にわたつて保存できることが明かになつた。しかも,この際,赤血球がブドウ糖を代謝して乳酸にすることを再認して以来,俄然,赤血球は生きた細胞として確認されるようになり,その動的物質代謝の研究が盛んになり,またそれにあずかる酵素の研究が行われるようになつて,この方面の立派な単行本および綜説1)〜5)が公にされている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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