icon fsr

文献詳細

雑誌文献

生体の科学9巻6号

1958年12月発行

文献概要

報告

多用途の一新型積分裝置

著者: 佐川喜一1

所属機関: 1横浜市大医学部生理学教室

ページ範囲:P.382 - P.386

文献購入ページに移動
 最近各種の電気的計算器,制御器類の一要素として電気的積分器が重要な役割を果していることは周知の事実であるが,生物学・医学の領域においても適当な電気的積分器があれば随分便利なはずである。いま生理学の分野から一,二の例をあげるならばまず流量の積算測定がある。従来呼吸気量や血流量を測定するには,電気的方法により一旦気流または血流速度曲線を記録し直線性を補正した後にこれをplanimeterで積分する方法がとられているが,この積分操作を即座に電気的に遂行してゆけば甚だ手数が省けるばかりでなく,その積分値を一要素への入力とするservo mechanismによつてなにか他の実験操作量を制御するというような高次の実験も可能になろう。第2にあげられるのは筋電図学的用途である。従来の研究1)2)により筋収縮時の発生張力または短縮度と筋電図の積分値との相関々係が判つているから,積分装置があればこういう知見を利用して生体内での筋収縮の模様を手軽に推量できる。その他一般に刻々と動揺する実験観測量の単位時間内平均値を連続記録したい場合にも,その単位時間を周期とする繰返し積分を行えば簡単に解答がえられるであろう。
 このように多方面での効用があるにもかかわらず,著者の知る限り在来の積分装置は必らずしも常に完全な積分操作をせず,または特殊な目的に限定使用されている3)4)現状で,上記の様な一般的応用にむく装置は報告されていない**

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?