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白血球膜の水分及び塩分輸送に関する研究—第2報:白血球膜のNa,Kの輸送について
著者: 浦上芳達1
所属機関: 1京都府立医科大学生理学教室
ページ範囲:P.387 - P.396
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白血球膜に於ける水分の輸送は塩分輸送に密接な関係を有している事は第1報に於いて述べて来たので,本報に於いてはかかる細胞膜に於けるイオン殊に(Na及びK)の輸送現象が如何なる機構によつて行われているかに就て論じたい。元来細胞内には一般にKや燐酸塩が多く,細胞外液中にはNaやC1が多い事は衆知の事実である。この様なイオンの濃度差は細胞膜の特異的な透過性によつて保持せられているものであるが,嘗つては細胞膜がこれらのイオンに対して不透性なるがためにこの様な現象がおこると考えられた。併し最近アイソトープの応用によつて,各イオンは細胞膜をよく透過し得る事が明らかになつた。この様な透過性イオンが一つの膜を介して異つた濃度にて平衡を保つている理由に就ては,そのイオンが細胞膜を外より内の方向へ移動する率Influx rateと内より外へ移動する率Outflux rateとが異るためであると説明せられている。但しここにFluxとは単位面積の細胞膜(又は単位容積の細胞)を単位時間に通過するイオン量を指し,Influxとは移動の方向が外より内に向うもの,Outfluxとは内より外に向うものを言う。又移動率Flux rateとはこのFluxを夫々の溶液(移動を始める溶液)の濃度によつて除して求めた単位濃度当りのFluxを言う。
白血球膜に於ける水分の輸送は塩分輸送に密接な関係を有している事は第1報に於いて述べて来たので,本報に於いてはかかる細胞膜に於けるイオン殊に(Na及びK)の輸送現象が如何なる機構によつて行われているかに就て論じたい。元来細胞内には一般にKや燐酸塩が多く,細胞外液中にはNaやC1が多い事は衆知の事実である。この様なイオンの濃度差は細胞膜の特異的な透過性によつて保持せられているものであるが,嘗つては細胞膜がこれらのイオンに対して不透性なるがためにこの様な現象がおこると考えられた。併し最近アイソトープの応用によつて,各イオンは細胞膜をよく透過し得る事が明らかになつた。この様な透過性イオンが一つの膜を介して異つた濃度にて平衡を保つている理由に就ては,そのイオンが細胞膜を外より内の方向へ移動する率Influx rateと内より外へ移動する率Outflux rateとが異るためであると説明せられている。但しここにFluxとは単位面積の細胞膜(又は単位容積の細胞)を単位時間に通過するイオン量を指し,Influxとは移動の方向が外より内に向うもの,Outfluxとは内より外に向うものを言う。又移動率Flux rateとはこのFluxを夫々の溶液(移動を始める溶液)の濃度によつて除して求めた単位濃度当りのFluxを言う。
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