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文献詳細

雑誌文献

病院1巻3号

1949年09月発行

文献概要

醫療社會化の中心問題—生活保障としての醫療(その3)

著者: 千種峯藏1

所属機関: 1済生会救療部

ページ範囲:P.31 - P.35

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 「医師は診療室を訪れる患者,往診を求める患者を診療しておればそれでいゝのではないか。」若しもこういう考が許されるならば,医療はまことに安泰な業務だと言えるであろう。しかし,この考の根底を洗つて見ると,医療に対する医師の自己本位性と,目前の患者だけを見て社会に於ける患者を見ないという医療の社会性無視とを見逃すわけにはゆかないであろう。

 目前の一本の樹木が連山をも蔽いかくすように,身近な対象の爲めに,より大きな対象や,より多くの対象を見失うことは,世の中に数多く例のあることである。診療室を訪れる患者の少くないのを見て,患者は皆それぞれに然るベく医療を受けているであろうと解釈して,自分の行つている医療そのものの社会的意義について,別に深く意を用いないという医師が今尚おあるのではあるまいか。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1383

印刷版ISSN:0385-2377

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