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雑誌目次

雑誌文献

病院1巻5号

1949年11月発行

雑誌目次

醫師會と病院

著者: 高橋明

ページ範囲:P.3 - P.4

 先般来朝された米国デューク大学々長兼小児科教授のウィルバートC・デヴィスン博士一行を日本医師会館に迎えて,同博士と,東京都内の病院長とが,病院管理其他に関して懇談した事がある。其際デヴィスン博士が云うには,病院管理と云う問題は米国では既に専門的に研究が進められて居る。此方面に向う人は,医学とは全く異なつた学科課程を授けられ,特別の訓練を受けなければならぬ。例えば社会学,経済学と云う様な方面に興味を持ち,且優れた学生を特別に教育し,如何にすれば最も経済的に又能率的に病院を賄つて行く事が出来るかと云う事を真剣に研究させるのである。今日では病院管理学校も出来て,そこで使う教科書も揃い,専門の教授も出来て,立派な一つの副業となつて居るし,此専門家にまかせる方が以前医師がやって居た時よりも遙に病院管理の実績が擧って結果がよいと云われて居る。

 デヴィスン博士が学長をして居るデューク大学では普通のインターン生の外に,管理インターン生Adminiustrative interneを年に2−3人程採用して,患者の生活状況を調べさせたり,医療材料の購入方法を研究させたり,細かい経理の面を手傳わせたり,会計方面の事や,統計的な仕事を実地に就て指導教育して,約3年で全科の訓練を終える様な仕組にしてあると云う。他の病院管理学校で,統計学とか,経済学とか,社会学などと云う正規の学科課程を教授して居るのとは全く対称的な方法で,丁度丁稚奉公とでも云う風に,專ら実地の訓練に主点を置いて教育して居る。

私立病院存續の可否

著者: 龜谷敬三

ページ範囲:P.5 - P.6

 ①戦後国民生活の窮乏に拘らず病院施設の改善には未曾有の努力が統けられている事は民族の文化向上の一指標となる事で喜ばしい限りである。

 従来の日本の病院は最低の費用で最大の診療效果を擧げるべく企劃されたものが多いので設備やサービスを第二とし医師が働き得る最小限度の必要器具薬品を備える事を目標とし,入院生活即治療上直接必要でない患者の快的さには殆んど無関心で過ぎて来た。従て米国式の新様式と比較すれば遙かに見劣りはするが経費の点からすれば驚くべき軽費入院が可能なのである。長い間日本の病院は乏しい国民経済に應える為の必然として不知不識の間に米国から見れば不完全不潔不快な病院を馴致して来たのである。

病院管理の諸問題

著者: 尾村偉久

ページ範囲:P.7 - P.8


 6 診療業務の良否

 病院で診療業務が良く運営されているかどうかは病院経営の根本的な問題である。診療がうまく行って能率があがっているということを常識的に判断すれば第一に患者が多数あることであり,第2にその患者がよく治療されていることであり,第3にその結果正しい意味で病院の収入が擧がるということであろう。病院の位置が最初から撰択を誤っていてその地区に於ける必要度が低く又交通が不便で利用の仕様がないという様な場合には,どんなに努力をしてもどうにも仕方がないからこれは論外として,良い診療業績をもたらす要因としては,第1が信用であろう。病院自体が長い間の信用の歴史を有している場合もあるが何といっても病院の診療に当る医師,ことに院長或は外科についてはその医長の信用がものを言うのである。この場合信用というものを構成している内容を考えると,結局その人が人格的に立派であって,親切であり技術的に他に優れていて,その地区における適正な診断者であり治療者であるということであろう。従って病院の診療業務が良いという為には,その診療スタッフにかかる人を得ることが最も必要なことである。第2には,診療部面の全従事者が心から患者に親切であり,従って診療内容に於て適切であるということであろう。具休的には,患者と医師との関係は,人と人との生命を託する信頼の問題であるから,結局相互に直接接触する機会が多いことが前提条件であろう。この意味でまず院長或は医長が定期に,或は更に必要な時には臨時に患者を回診し,見舞う機会が多くなければならないし,又各担任医師が定時,更に必要な時には随時に患者に接する様になっておらねばならない。尚医師だけでなく,看護婦長或は主任看護婦が毎日患者に接する機会を持つ必要があり,この外医療社会係或は病室の色色な係の責任者が,患者の希望等を察知する機会を多く有つ様になっていることが必要である。この為には診療管理の上から,これらの責任ある人が,病室を訪れて,患者に接することを規定した内規の様なものがあって,それを遵守してゆく仕組がよいと思う。尤も多忙な院長等の責任者が毎日万遍なく詳しく実行することは,身体が幾つあっても足らないであろうから,これら長の位置にある人の場合には見る(see)訪れる(visit)詳しく診る(examine)の三種類の方法を適当に定めて使いわける必要はある。このことは院長,事務長が診療業務に限らず全般の病院管理の面から院内の現場に臨む場合にも適用され得ることである。以上の第1,第2の要因について,現在の我国病院の現状を眺めると,病院の施設,設備はまことに優れて立派であるに拘わらず診療面であまり評判がよくなく,業績も擧がらないという様な病院を見受けることが屡々ある。ところがその地区の古い木造建の設備もそれほど立派でないと思われる病院が非常に繁盛して,業績も擧っているところがある。よく覩察して見ると,前者に於ては入院はしたが院長,医長の顏もまだよく判らぬという様な工合であり,医局員や看護主任の仕事振りもお役目的であって,いつ診てもらうかまことに気儘で心細いと言う様なことがあり,後者に於ては院長以下定時によく回診して呉れて,患者とよく信頼感が交通し,又従って病院管理も上から下までよく行きとゞいていて,設備は粗末であつても,清潔,整頓されていて,その最高の效率を発揮しているということを発見する。たゞこの場合,徒らに必要の度をこして患者の御機嫌をうかがつたり,或は必要外の注射その他の診療を顛繋に行つて徒らに患者に苦痛を与えたり,負担をかけるのがよいというわけではなく,勿論それは適正治療を行うというのが根本であることは間違いのないところである。上逑のことに関連して,最近病院の格付けの問題で議論が闘わされているが,それは現在進行中の病院分類の採点基準は—應1)管理2)人員3)設備構造の3条件についてA,B,Cの格付けが行われるのであるが,これでは上記に逑べた様な病院の構造,設備は若干貧弱であるが,そこの人的構成,ことにその素質が優れていて,民衆の真の診療的信頼を博し,診療業績を舉げてているという機能的な格付が表面に現われず患者から見て真に診療を托し得る綜合的診療価値判断にぴつたりしないという問題である。この点の解決は,今後実施してみての検討にまたねばならないが,別に,嘗て国民医療法当時規定されていた專門医制度を医療法に復活して,病院の格付に添加表示し得る様にすることも大いに考慮すべき方法と思う。このことは同時に誤れる民衆の学位盲信の弊を是正することにもなるわけである。

病院と管理(その5)—民主的病院運營は如何にすべきか

著者: 吉田幸雄

ページ範囲:P.9 - P.14

目次

17 運営体に關する今後の研究(続)

アメリカの醫療及醫療施設(下)

著者: 小谷新太郎

ページ範囲:P.15 - P.16

 次の第10表は入院患者平均現在数(一定期日に於ける)を政府立病院と政府立でない病院とに分けてみたものであります。

結核療養所管理の問題(3)

著者: 春木秀次郎

ページ範囲:P.18 - P.22

第4章 醫療及看護に關する管理

(1)醫長の資格

 優秀なる医師で,世間で認められて居る人が望ましい。

精神病院の管理

著者: 關根眞一

ページ範囲:P.23 - P.26

 精神病院の管理には一般病院と種々の異った特殊な面が考察される。中でも建築の問題,外来患者及び入院患者へのサービスの問題や作業療法施設の問題等の管理を考究することは精神病院の重要な課題として取り上げられべきものである。尚又医療社会事業も今後精神病院にも充分考うべき重要な仕事である。今日はこれらの問題につき個々に考究することは許されないから精神病院で重要であるにも抱わらずとかく等閑に付されがちの病棟の管理についてその主要の点を述べて見たい。病棟の管理は中でも入院患者へのサービスに最も關係の深い面であるから,それを述べる前に先ず精神病院の病棟の組織の概要を説明して置くと便利と思う。

 精神病院は大体治療病院と治療保護病院とに分けられる。治療病院は主として急性の神経症や精神病患者の入院並びに外來診療を目的とするのであって例えば大学の附属精神神経科病室の如きものである。次に治療保護病院は患者の治療は勿論のこと慢性になった患者とか社会的に危險な患者を社会から隔離して保護することを目的とするもので郊外に大きな規模を持って居るものが多い。現在普通の精神病院と云えばこの治療保護病院を意味するものが多く治療保護病院は今日では治療病院の任務をも兼ねて居る状況である。病院の管理の面に於ては両者共通の点が多いと考えられるので治療保護病院について述べる。

病院經理の初歩基本式

著者:

ページ範囲:P.27 - P.28

 病院の経理は総収入(I)から,総支出(O)を引いた残りが利益(P)である事に間違いはない。

病院に於ける醫療社會事業(下)

著者: 吉田ますみ

ページ範囲:P.30 - P.34

 24−1−18

 児玉経堂病院へ電話で問合せたが矢張り空床なく何時空床が出來るか豫定がつかぬとの事であった。

 本日の面会の時患者は,自分は自由労働者だったので大食のたちだから,入院したら與えられる食事だけでたりるだろうか心配だと云うので,当部では病人用として特配もあるし,みんなそれでたりているのだから心配はないと思う,そして食物も大切だが現在は安静にして静養することが一番必要なことであると話して入院を待つ樣に云った。尚入院するまでは安静にしているようにすゝめた。患者は喜んでどうか宜しくお願いしますと云っていた。

夢物語・村立診療所

著者: 久松榮一郎

ページ範囲:P.35 - P.38

 A村は田と畑とほとんど同じ位で,山林も相当にある。1戸当りの平均耕作面積は1町2,3反であるとかで,まず豊な村であるといってよい。戸数約500戸,人口約3000である。大部分は農家である。從つて可成り廣い地にバラバラに農家が点在する。ただ村の中心地といわれる所には牛農,牛商,その他勤人等が約50戸を集めている。この中に小学校,中学校,役場,診療所,公民館等がある。

 診療所は村立である,建物は約50坪で,相当に廣い。村役場と並んで,和洋せつちゆうの白い壁の美しい建物である。診療所の職員は医師1人,看護婦1人,保健婦1人,助産婦1人,事務職員3人である。如何にも多いようであるが,あとに述べるように,この7人が村の医療と保健及び其の事務一切を引き受けているのである。

手術室の設計とその運營

著者: 鈴木五郎

ページ範囲:P.39 - P.44

 手術は外科の生命である。そり手術を思う様に実施し得る所が手術室の理想である。思う様にと云う意味は手術が科学的合理的に何等の支障なく規に叶い縄に則って術者の藝術的感覚を鈍らせる事なく円滑に遂行される事である。従って実際には科学の進歩と術者の知識とそうして良心の如何によって設計にも種々の段階があり,又国々の文化環境も之を左右するであろう。茲には吾々が持つ外科常識で日本で出来るであろう所の普通の手術室を設計し此中で之をどう運轉するかに就て述べて見たいと思う。外科を志すもの或は手術室を設備しようと思うものにとって多少とも参考たり得れば幸である。乍併私は今日迄遂に自ら設計した手術室で手術した事はなくいつも既存の手術室でのみ手術を実施して居る者であることを諒承されたい。そうした経験からすると一般的にはなかなか良い手術室と云うものはないものである。室が小さ過ぎたり,天井が低かったり,床が不潔であったり,暖房が悪かったり或は夏では暑かったり,諸設備が不満足であったりするものが少なくない。

 抑々手術室として要求すべき諸条件中最も緊要なものは,清潔,採光及び暖房保温である。換気に就ても充分の考慮が必要である。従って手術室の構造は之等の条件を満たす様々ものであることを要する。斯る室に手術台其他手術に直接必要な一切の装備をするのである。此固有手術室には更に之に附属する準備室其他が必要である。即ち術者側の準備室としては更衣室,手洗消毒室,又手術繃帯材料等の消毒室,器械消毒室,患者の準備室等は何としても主手術室に直接させねばならぬ,尚手術器械室,薬品室,材料室,看護婦室,洗濯室等も接続存置する方が便利である。以下固有(主)手術室及び附属諸室の各々に就て簡潔なる説明を試みたいと忍う。

病院に關する用語とその譯語(1)

著者: 島内武文

ページ範囲:P.44 - P.44

 すべて新らしい学問が国外から入って来る時には,その用語が邦語に訳される事が必要になる。但し必ずしもすべてが邦語訳が出来るとは限らないが,矢張り何といっても適訳があれば,概念を記憶し,又用語を利用するに便である。

 明治維新以来輸入された多数の用語については,当時の先人の豊富な漢学の素養によって,今日我々が使用している無数の用語がつくられて来たので,我々はどれだけそのお蔭を蒙っているかわからない。併し乍らその幾分かは,今日の漢字制限その他の理由から逐次改善されつゝある状況である。

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病院概史(その2)

著者:

ページ範囲:P.2 - P.2

 16,7世紀のルネッサンスの時代に入ると,他の学問と同様,医学は新しい発展を初めた。ギリシアの実證的医学及エジプト,インド,アラビアの知識が顧られるようになり,解剖学,生理学その他の基礎的医学が前進を始め,亦臨床医学が科学的な形態をとり初めるようになった,そして総ての病院が医師の実習場となつた。特にこの時代に外科というものが病院内で発達することになつた。

大人と子供

著者: 島内武文

ページ範囲:P.10 - P.11

 筆者は嘗て或中学の二年生の一團と共に山中湖畔にキャンプ生活をした事があったが,どうした事か生徒に風邪を引く者が多いのを不思議に思った。元気ではち切れる様な子が声を嗄らして受診してくる。咽喉をのぞいて見ても大した變化がないので,薬を塗って含嗽位をさせていた。所がそれが二三人に止まらない。そこでハタと気がっいた。年令が恰度13から14の生徒だ。歌等を唄うのを聞いていると,例の妙な高調音が,かすれた声の間に幼年の日の名残を止めている。声變りだったのだ。

 扨て先日小児科は一休何才までをとるのだろうかと云う事が話題に上った。そう云われてみれば,筆者もかなり長く診療に関係し乍らうつかりしていた様である。そこで大人と子供の境は一般には幾才だろうかと思って,二三調べて見た。

管理者メモ 病院従業者に勞務加配

ページ範囲:P.13 - P.13

 昭和24年度生活物費需給基本計画の策定の際に,昨年10月より実施して來た主食の労務加配について,加配対象業種及び加配基準量の再檢討が先頃行われた結果,今回更に従來加配の対象となっていなかった業種についても新しく加配の対象とすることに決定され,24年度の方針として食糧廳長官より,及び厚生省所管の業種については厚生大臣官房総務課長より都道府知事宛通知された。

新生児の呼吸保護器

ページ範囲:P.17 - P.17

 新生児用の小型呼吸保護器が出産時呼吸困難な幼児を救う為にオーストラリアの病院で用いられている。これはWaterworth Infants' Respiratorとして知られている。“鉄肺”はタスマニアの首都であるHobartのIan WaterworthがDr. McIntyreと協力して設計した。

 現在それはオーストリアの7つの大病院で用いられている。

管理者メモ 病院勤務の醫師定員

ページ範囲:P.26 - P.26

◇専門病院の場合◇

 病院に於ける医師の定員については,医療法施行規則第十九條第一号に最低三名と規定してあるが,外科専門等の病院に於て歯科を併置してある際は,医師二名,歯科医師一名にて定員三名と見なして宜しいか。

 右福島縣知事の照会に対し,厚生省医務局長の回答は次の通りである。

管理者メモ 病院,診療所の診療に警告

ページ範囲:P.28 - P.28

不應招問題に厚生省から通牒

 医師法第十九條又は歯科医師法第十九條に規定してある所謂医師,歯科医師の不應招問題に關して,最近東京都内の某病院に於て医師が空床がない事を理由に,緊急収容治療を要する患者を拒んだために問題を惹起したので,厚生省では重大視し今後かゝることのないようにと九月十五日附東医務局長から都道府縣知事あて左の如き警告的通牒を発し,府縣下の医師,歯科医師及び医療機關の長に対し特に留意の上充分諸趣旨を徹底させるよう配意方を依頼した。

醫學の進歩に伴う治療形態の變化

著者:

ページ範囲:P.29 - P.29

ペニシリン及びストレプトマイシンの使用法

 ぺニシリンやストレプトマイシンを使用するに当っては,その血液濃度に重きがおかれ,一定濃度以下では抗菌作用が十分に発揮されないから,その治療效果は不完全であると考えられ,效果的な血中濃度を保つために,短時間々隔の系統的注射が絶対に必要であるとされ,3〜4時間毎に注射するのが常識となっている。

 ところが最近アメリカ側の報道によれば,肺炎の治療に際して,水溶性ペニシリンを1日2回12時間おきに注射するだけで,今までの方法と同様の效果があることを明らかにしている。尤もその使用量は1回10万單位前後である。軽症なもの,殊に全身症状の強くない限局性化膿性疾患等には,1日1回やゝ大量をさすだけでよく,この際局所注射を兼ねるのが最も效果的である。また梅毒治療には,従来1日数十万單位の油臘ペニシリンを連日注射して全量数百万單位を要すると云われていたが,ごく最近の話では,水溶性のものを1日1回30万単位ずつ8日間で,早期梅毒を治し得るということである。これは,従来ペニシリンの血中濃度に重きを置いて間歇注射が推奨されたのであるが,近頃の研究によって,血中濃度が低下しても,病巣組織内のペニシリン濃度は遙に長時間に亘って高く保持されることが判った事実に依る。

管理者メモ 病院診療所の廣告取締

ページ範囲:P.34 - P.34

 最近厚生省医務局長から各都道府縣知事あてに,病院,診療所等の廣告について左の通牒が発せられた。

 標記の廣告については國民医療法においても嚴格な制限が附せられていたが,あらたに施行せられた医療法においても略同様の制限規定が設けられている。然しながらこれらの廣告の実情をみるに,地方によっては医療法の要求とは著しく縣隔があり,同法の規定の趣旨が没却されている感があるので,この際積極的に同法違反の廣告の取締方を励行せられると共に,特に縣立の病院,保健所等については率先違反廣告の絶無をはかるよう努められたい。追而本件についてはその実效を期するため國立の施設の長並に日本医師会長及び日本歯科医師会長に対してもそれぞれ別紙の通り通牒及び依頼をしたので爲念申し添える。

病院人事消息

ページ範囲:P.38 - P.38

◇久慈直太郎氏

 十五年間日本赤十字本社産院長たりし氏は今回東京女子医大学長末吉雄治氏が辞任したのでその後任学長に専任さる。氏は明治39年東大医学部卒業後郷里岩手病院に勤務され昭和5年日赤産院長に就任された人で,産院長は当分兼任の由。本年69歳。

質疑應答

ページ範囲:P.45 - P.45

質問のある方はどしどしお寄せ下さい。内容に應じてそれぞれの権威者の解答が輿えられます。宛先は「病院」編集部にお願いいたします。

國立病院長一覽

ページ範囲:P.46 - P.46

國立病院長一覽

◇北海道醫務出張所管内◇

札幌 柳 莊一

旭川 小竹 英夫

函館 横内 兼松

宗谷 武田光太郎

登別 横井 稔

八雲 浜 凱

外誌渉讀

著者:

ページ範囲:P.47 - P.50

病院管理助手の利用(Hospitals Aug 1949)

 病院管理者は暇がなくて,やらねばならぬ事が出来ぬと云う話をよくきくが,この問題は適当な助手を使う事によって解決される。助手は院外から時間給で雇う事も出来るが一番よいのは,院内でインターンの終った宿泊医員を利用するのがよい。彼等は院内の隅々までの事情も知っているし全員と顔見知りだからよい。特定の問題について,依頼すればよくやって呉れる。例えば最近ペニシリンの使用が急速に増した。これについて各科別個人別の使用量の統計をとおして,各個に懇談したら,誤用過用を発見して一ヵ月使用量を倹約する事が出来た。又血液銀行は利用者があった時は必ずその家族友人から補給してもらう事になっているのに,実際は1/3に充たない。血液銀行の担当者を決める事によって,此の問題を,解決する事が出来た。

 管理者が忙しいのは米国も日本も同じらしい。この問題を時間雇で解決しよ弓とするのに面白い所がある。レジデントは必ずしも忙しくなくて20−30%の時間をさく事が出来るし経済的にも喜ぶだろうと書い七あるが日本の大学の無給助手に,似ている。月150弗拂ってもペニシリンが何千ドルもおかると云う考え方は計算的には面白いが日本の役所病院では出来ぬ仕事である,ペニシリンまで入院料に含まれていると云う事が感じられる。

編集後記

ページ範囲:P.50 - P.50

 皆様のおかげで,5号は最も順調に発行する事が出来ました。厚くお礼申上げます。

 この号で特筆すべき事は,巻頭に日本医師会長高橋先生の「医師会と病院」という御原稿を掲載させて頂いた事です。御承知り如く,マ元帥勧告によって発足し,審議の回を重ねつつある,内閣諮問機関の社会保障制度審議会は,去る10月13日の定例総会に於いて,愈ゝ起草委員会案の社会保障制度九原則を審議するまでに至りました。即ち,日本の医療制度は,社会保障制度の観点から,国民の最高の専門的代表によって,その方向を決定されようとしています。かゝる時に当って医師会を代表された高橋先生が,病院問題に対する深い関心を表明された事は,非常に意味のあるものとして読者はお読みになることと思います。

基本情報

病院

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1383

印刷版ISSN 0385-2377

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