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文献詳細

雑誌文献

病院1巻6号

1949年12月発行

文献概要

[座談會]家庭婦人と病院(上)

著者: 羽仁説子 川西田鶴子 風岡とき子 金子真子 吉田幸雄 守屋博 金原一郎 久松栄一朗

所属機関:

ページ範囲:P.39 - P.43

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 吉田 口切りをいたしますが,今日皆さまにお集り願いましたのは病院と家庭の主婦の方とは非常に密接な関係がありますので是非良識のある御婦人方からいろいろ病院に対する御意見を拜聴させて頂きまして,病院管理の改善の参考にさせて頂きたいという意味合でお集り願ったのであります。さてこの病院というものを戦後の新しい憲法にそいまして,文化国家の病院,あるいは民主主義国家の病院あるいは憲法の25條で決められましたような考え方から見直して考えたい。その点聯合軍の方からもいろいろなサゼスションがありまして,その点は反省するところが多かったのでありますが,今度,医療法という法律が新しくできまして,従来の法律では病院というものの性格が非常に漠然としておったものがはっきりしたものになりました。病院こそ患者を收容するところで,科学的な,且つ適正な診療を期待出来るものであるというふうに決められたのであります。従ってこれからはそれを土台にして病院というものを取扱い発展させることになったのであります。一方振かえってみますと,病院の管理ということが,従来,ややもしますと,病院で働いておられるお医者さんの狭い意味の診療という考え方だけで病院が運営されたり管理されたりしておった傾向がありまして,患者に対するサーヴイス,こういう問題がちっとも研究されておらなかった。決して医者が関心をもたなかったわけじゃないのですが,病院全休としてそこまで考えを進めなかった,あるいはまた一方民衆の方が病院というものを自分らのものとして育てようとされなかったということが,やはり日本の病院のあり方を不明確にしたのではないかと思います。従いまして今度は皆さんにもよく病院というものを理解していただきまして,われわれも病院というものを顧みまして,悪いところは大いに改善してゆくというようにしたいと思うのであります。御承知のように病院というものは人道主義的な立場に当然立たなければならない。それについても患者さんをお預りして気持ちよく安心して療養をして頂く為には御婦人の良識というものがもっともっと病院に入ってゆかなければならないと思うのです。現実的に言いますと,皆様の御家庭で御病人が出てさて入院するということになると果して今の病院の状態で御家庭の御婦人が御満足の行くような病院の受入態勢が出来ているでしょうか。そこにいろいろの問題があるのではないかと思います。その点を一つ,御忌憚のない御意見を伺いたいと思います。なお一般の御婦人の方に病院を良くするために御協力願いたいということで,われわれの方からもお願いをさせていただきたいと思っています。如何でしょうか,具体的ないろいろな問題にわれわれの方でお答えいたすということで取あえす今の日不の病院に対して御注文を……どんな問題でも結構でございますから一つ……

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1383

印刷版ISSN:0385-2377

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