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雑誌目次

雑誌文献

病院10巻1号

1954年01月発行

雑誌目次

アンケート

大学病院で本年一番実行したい病院管理上の問題(到着順)

著者: 篠田糺 ,   岩鶴龍三 ,   水田信夫 ,   永澤滋 ,   瀧本庄藏 ,   遠城寺宗德 ,   国友昇 ,   馬詰嘉吉 ,   柳金太郞 ,   戶谷銀三郞 ,   山田豊治 ,   柳原英

ページ範囲:P.2 - P.3

 「病院管理のガンは大学病院だ」という声がきかれたのはそう昔のことではない。然るに近年文部省に設置された大学病院研究会を原動力として各大学病院に於ける病院管理熱はとみに昂まつて来た樣に思われる。何と云つても大学は医師の養成機関であり,今日尚補給源ですらあるのでは大きい。「日本の病院改革は先ず大学病院から」とも云える訳である。そこで新年に当りこの一年の計を全大学病院長にアンケートしてみた。

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公的医療機関のあり方

著者: 曾田長宗

ページ範囲:P.4 - P.6

はしがき
 近年公的医療機関が逐次発達して来るに従つてこれが私的医療機関の正当な活動を圧迫する場合が多いとして,医師会方面から屡々烈しい批判を受けている。一方においては尚一層多くの公的医療機関の増設が要望されつつ,他面においてその発展にきびしい反対があるという事実はわれわれの無視し得ない所であつで,この問題は早急に,しかも徹底的に究明されなければならない。勿論この問題が久しく紛糾しているということは,その解決の六かしさを反映しているもので,軽々しくその解明策などが出て来るものでなく,又筆者のような立場のものが,なお充分に検討を経ぬ意見を発表することも差ひかえるべきのと思われるが,問題の重大さの故に,その根本にひそむ基礎的事項をここに若干列挙して大方の参考に供し,広く意見を鴻湖に求めたいと考えて,むしろ問題を提起するといつた意味でここに筆をとり上げた。

病院の主婦は誰か—ハウスキーパーは何をすべきか

著者: 橋本寬敏

ページ範囲:P.7 - P.9

 病院協会の企として,病院のハウスキーパーの講習会が催され,私たち「病院主婦学」を講義しろと命ぜられた。司催者の希望に添うかどうか知らないが,次のような意見を述べた。

米国病院内に於ける病理部門活動及基礎部門の調査研究(1)

著者: 竹內正

ページ範囲:P.30 - P.36

〔紹介〕今般国立東京第二病院の臨床病理科の竹内博士が,米国シヤロツト記念病院に留学されて,病理学研究に兼ねて,病院内の病理部門活動及基礎医学部門の調査をされることとなり,遂次調査報告の提出を依頼しておいた。その第一報が届きましたので,特に本誌へ掲載して,我国病院の,この方面の発展への有力な資科になるかと考えております。今後も続報を連載させて貰うつもりでおりますので御期待を乞う次第です。

国立東京第一病院に於て中央化された臨床病理検査室の近況

著者: 守屋博 ,   小酒井望

ページ範囲:P.37 - P.38

 本号には竹内博士より,米国病院に於ける中央化された臨床病理室の実況について詳細な報告があり,非常に参考になるのである。しかし読者の内にはこれは伝統的にも経済的にも,全然事情を異にした異国の話であつて,我国に於ては当分望むべくもないと云う感をもたれる方も少くあるまい。其の点について我が国も同様な方針でやれるのだ,否既にやつているのであると云う報告は読み合される。諸君にとつてより参考になる事であろうと付記する次第である。
 我々の中央化運動は既に4年前になるが其の間,色々の障害にぶつかり屡々挫折しようとしたのであるが,曲りなりにもある程度の基準を見出して,今米国の同種の物に比べてその器械力を除いては遜色がないと云う点まで来ていると思う。これは一に職員各位の献身的努力と厚生省係官の御理解によるものである。

暖房裝置について

著者: 三村胖

ページ範囲:P.39 - P.41

 室内を適当な温度に温め,人体が受ける感覚を快くする装置が暖房装置であるが,在来は単に空気温度の調整のみが考慮に置かれて来た。然し最近は暖房装置とは温度のみならず其の温度及び清浄度等空気の状態を人工的に調整する装置でなければならぬと云われる様になつた。空気調整と云えば暖房のみならず冷房や換気も含されるのであるが,ここには暖房のみに就て極く簡単に述べる。
 高温度の物体から低温度の物体へと熱が移動する「熱の伝播」の現象には「伝導」「対流」及「輻射」の三種類がある。暖房の場合は常に其の二種類以上が同時に生ずるものであつて各現象を正確に分類する事は困難である。然し其の中の何れを主にして「伝播」の目的を達成するかと云う点から暖房方式を対流暖房と輻射暖房とに分類する事も出来る。所謂蒸汽暖房や温水暖房は前者に屬し,電気ストーブや最近,次第に普及して来たパネルヒーチングは後者に屬する。

病院の防火設備

著者: 全米火災予防協会

ページ範囲:P.43 - P.45

 次の防火安全勸告は保育園其他色々な名前で呼ばれて居る同種の用途の建物のために作られたものであつて,これは全米火災予防協会に対する緊急の要望によつて生れたものであり,軈ては人命の安全を画るために全米火災予防協会の委員会により法律的効果を日的とする建物緊急避難路条例が出来るので自下その準備中であるがその公式の成案を得るまでのかかる使用目的の建物の人命保護のための勧告として出来たものである。この勸告は建物緊急避難路條例の原則に基いては居るが目下の所暫定的の指針であり法律上の目的を持つて居るものではない。

Dr. Hara's Recordtape

著者: 原素行

ページ範囲:P.47 - P.48

 畏友守屋博君は病院管理学の專門家であるが,私は現在の病院管理者として現場監督の立場にあつて,寧ろ管理学という方面ではアマチユア的な在存である。アマチユアという者は「学」が足りないから時々ドグマに陷つても自らそれに氣がつかないものである。そのような時には皆樣からお教えをお願い致したい。
 守屋君は大乘的見地から病院管理の詳しい解説を行われたが,その言は一々基本に触れ,その声は余韻錚錚として,総ての病院の隅々まで響き渡つて病院合理化の爲めに貢献する処極めて大であつた。私は現場監督としての立場から氣がついた事,困つた事,困りそうな,等々を少しく書いて見たいと思う。要するに「病院の悩み」とか「病院長の悩み」とでも云うことになりそうである。

研修所だより

著者: 岩佐

ページ範囲:P.50 - P.50

 予定通り総婦長の研修会を11月10日から開催しました。当研修所の事業として総婦長を対象とする,病院管理関係の講習会としては今回が始めてですが,実質的にはこれと同種の講習会を,厚生省医務局の看護課が主催し,当研修所が協力すると言つた形で昨年も開いています。
 講義は7日間で前半は病院管理一般,後半に総婦長に持有なものと分けました。後者の中では部下の指導法,特に会議を通じて民主的自発的に仕事をやらせてゆく為に,技術的な或いは社会心理学的な会議のやり方についての講義に重点がおかれました。

病院関係文献紹介(2)—病院管理研修所編

著者: 岩佐

ページ範囲:P.51 - P.51

(B)医療制度
4)ドイツ医学教育と医療の現状(1);診断と治療P.77=吉田 久 筆者は東大講師。三井厚生病院小児科部長で最近1ヵ年間ドイツに留学して得た知識の紹介5)新中国の医学教育見たまま;公衆衞生14巻4号P.30=戸 源治 筆者は1945年停戦後中国に留りその医科大学の教育にたずさわつた経験から新中国の医学教育の発展を報告している。

日本病院協會だより

ページ範囲:P.52 - P.54

1.第2回 会費制度確立,協会強化拡充委員会結論及び入院料問題経過報告
 10月22日に会費制度確立,協会強化拡充委員会を開催して,前会議に於て論議の中心となつた各関係団体施設を縦の線から加入させる件,或いは個人会員制度を設ける件等について或程度の線が出たので,入院料問題の最近の状況と共に報告した。

病院関係人事消息

ページ範囲:P.55 - P.55

◇阿部 勝馬氏(慶大医学部長)慶大医学部附属病院長を兼任。なお同部長は留任。
◇大森 憲太氏(慶大病院長)昨年来病気のため永らく加療中の氏は最近全快され,院長の事務診療に従事されていたが,今回の院長改選を機に退くこととなつた。

あとがき

著者: 小西

ページ範囲:P.56 - P.56

 あけましておめでとうごぎいます。本誌は皆様方の絶えざる御鞭韃により昨年も大いに頑張り益益順調な発展を続けて来ました。病院を廻る諸般の情勢も一歩一歩前進して明るい前途の曙光を見出し得たことは御同慶に堪えません。今年も大いに勉強したいと思います。諸者各位の御叱声を期待します。
 近年大学でも病院の管理ということに関心を示して来たことは御同慶の至りである。一昨年東北大学が率先病院管理学講座を開設した当時,吾々は満腔の敬意を献げると共にその帰趨について関心をもたない訳にはいかなかつた。処が昨年4月担当教授も定まつて着々その地歩を進められている事にひそかな安堵を覚えているのである。のみならず,正式な講座と迄は行かずとも随意科目或いは臨時講義の形で,医学生に病院管理の講義を始めた大学がその他にもボツボツ出始めている。これらの学生がやがてインターンとして更に医師として吾々の病院に来た時を想像すると心ましい思いがする。又この様な気運が今年の病院界に新鮮な風を送つてくれることを期待したい。そうした意味合から,年頭に当り全大学病院長に新年の抱負を伺つた処,巻頭の回答に接することができた。更に次号に於ては文部省大学病院研究会の有志メンバーによる「大学病院の在り方」についての座談会記事を掲載の予定であるから御期待を乞う。

座談会

病院の藥局の在り方

著者: 小西宏 ,   橋本寬敏 ,   林塩 ,   尾村偉久 ,   不破龍登代 ,   滝野賢一 ,   守屋博 ,   野上寿 ,   宮崎順一 ,   橋本寿三男 ,   岸浪菊江子

ページ範囲:P.10 - P.29

 小西 日本でも病院管理というものが取上げら病院の改革が行われつつあるわけですが,薬局の問題がブランクになつていると思われるので,この問題を本日は取上げてみたいと思います。順序として,まず日本の従来の病院における薬局の在り方を検討して,外国のやり方を参考として今後の日本における近代病院の薬局の在り方をいろいろお話し願いたいと思います。まず日本の従来の薬局のあり方がどういう形をしておつたかということですがこれは日本のいろいろ病院の種類によつてその在り方が若干違つているかと思います。つまり薬局のあり方に少し巾があるようです。で一番広い業務範囲をとつた薬局は軍病院の薬局ではないかと思います。軍病院の薬局におては調剤,製剤はもとより,薬品の検定,医薬品,衞生材料医療機械器具,そういうものの補給管理まで一緒にやつたようです。その他の一般薬局においては,補給という面は医薬品以外のものについてはなかつた所もあるようです。また主として調剤に仕事の重点がかかつていた所もあるようです。また特殊病院あたりになると仕事の範囲が狭まり,今お話した中で更に狭い範囲の仕事がなされていたところもあると思います。その辺でお話合い願つてみたらどうかと思いますが。

病院長プロフイル・8

国手院長西野忠次郞氏(国立東京第二病院長)

ページ範囲:P.42 - P.42

 昔から医師の大家に対して,国手という称語がよく使われる。しかし真の意味での国手と称するに相応わしい条件の揃つた人は,少ないのではないだろうか。その意味で国立東京第二病院長の西野忠次郎氏は,何人もが納得する,現代に於ける数指を以て数えられる,国手の1人,むしろその最高の候補者たり得る人とも言えよう。
 明治36年東大医科出身後50年間にわたる脳脊髄疾患をはじめとする内科学者内科臨牀医としての研究と学識経験は,現に日本内科学会の最長老者の1人であり,又北里,北島兩博士と共に,慶大医学部を創設して,終戦に到るまでの30余年間医育機関の最高責任の地位を履んできた医育界の先輩であつて,現に同大学の名譽教授であり,又30年来内閣恩給局顧門医として,傷病と保障との関連を医学的立場より打ち立てて来た先達である。更に病院長としては,40年間にわたつて,県立,大学病院,国立,とそれぞれの形態の病院長として経営に任じて来て,おそらくその長期の多角的経験というものは,他に類が少ないものと思われる。

海外病院トピツク

全科修練レヂデント,他

著者: T.K.

ページ範囲:P.46 - P.46

 AMERICAN PRACTITIONERという全科をとり入れた開業医雑誌の最近号を見るとアメリカでは全科をやる開業医は専門医と併行し都市に於て農村や田舎の医師として重要視され,特別専門技術を要する場合は専門医に廻す仕組となつているようである。所で近代的全科的医師も当然養成されるべき立前で全科医レヂデント修練プログラム計画を報じている。このResidency計画というのは,インターンを終えた医師で特別なる専門科に入らないで一般とか全科という科な別に設けてResidentとして修練させるわけである。
 これはResidencies for General PracticeというわけでPittsburg大学医学部とMedical Center Hospitalsに於て1951年の7月から開始されこの新レヂデント修練に於てGeneral Practitionerをどしどし養成する目的である。綜合診療のためとか開業場所に依つて余り専門医ばかり集つても,必ずしも医療のレベル向上しないという見解の下にこんな新動向となつたわけである。恐らくアメリカ医科大学病院最初のものであつて注目されている。免角高度に専門化されなくなつても役に立つ全科医の養成に重点をおいている。

読者の声

会計組織の確立について

著者: 村上実

ページ範囲:P.49 - P.49

 いくつかの病院を視て歩いて共通的に感ぜられることは,管理者によつて自らの病院の経営状態が,経理的に把握されていないことである。と言うことは根本的には病院に会計組織が確立されていないこと,管理者に会計組織に対する理解がないこと,会計事務の処理できる事務員が配置されていないこと等に胚胎しているように考えられるのである。このことは今日の社会常識として,将に驚嘆に値する事柄の発見であると言つてもおそらく言い過ぎではあるまい。
 ある国立病院で,現在の診療単価でペイしているかとの間に対して,ベイしていると答えた。なお詳細に聞いて行くと,単に歳入と歳出が予算通り実行されたことを以てペイしていると考えていることが分つた。ある市立病院で,年間〇〇〇万円の赤字であると言うのを聞いて調べてみると,税や減価償却は勿論のこと,営繕費も,上級機関の管理費の負担も一切含まないものであるため之等のものを織込んで損益計算を見た場合には,赤字は更に増大すべきものであることが分つた。ある産業病院では,本社の会計課がすべて会計処理をするため,病院長も事務長も,赤字については全然関知しないという,極めて呑気な話であつた。

基本情報

病院

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1383

印刷版ISSN 0385-2377

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