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文献詳細

雑誌文献

病院11巻3号

1954年09月発行

文献概要

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医師の学位問題について—アメリカの合理性と日本の非合理性

著者: 吉野亀三郎1

所属機関: 1予研

ページ範囲:P.22 - P.26

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医師の看板としての博士
 アメリカでは医師といえばM.D.であり,M.D.以外の医師はない。学校を出たての新米医師も一流病院の院長も大学教授も皆一様にM.D.である。即ち医学校を卒業して国家試験(州試験)に合格した医師は全部M.D.であつて,これは特別に学位論文を書いて申請しなくとも皆に呉れるのである。従つて臨床家になる人が畑違いの基礎医学で無駄飯を食つて数年費す必要もなく,殆ど全部の医学校卒業生は臨床に進み,且つ開業医になる人も多い。看板としてはどこでも自分の名前の後にM.D.とかいた金文字か黒文字を扉に示し,専門を表示してあるだけである。
 所が日本では,医師の中に上等と並級の区別をして博士と学士に分けているのは誠におかしな話であつて,私はすべての医学校卒業生に一様に博士を名乗らせることが全く米国式であつて合理的であるということを年来主張している。或は博士号を全廃して皆医学士にしてもよい。要は料理屋の定食のように上製,並製を区別しないで,肩書に関する限りどの医師も平等にすることである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1383

印刷版ISSN:0385-2377

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