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文献詳細

雑誌文献

病院12巻1号

1955年01月発行

文献概要

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病院史概説(10)

著者: 岩佐潔1

所属機関: 1病院管理研修所

ページ範囲:P.55 - P.59

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XI.近世初期の病院
1)ルネツサンスと病院
 西ローマ帝国の滅亡が古代と中世の境界とするならば,東ローマ帝国の滅亡はこれまた古い時代の沒落の1つの象徴にほかならない。オスマントルコ族が,このローマ帝国の伝統の直接の継承者を以て任じていた東ローマ帝国の首府コンスタンチノープルを,陥落させたのは1453年で,そのころ西方諸国においてはすでに中世的なものが各方面で徐々に崩壊しつつあつた。それはまずイタリアを中心とする南欧に起つた中世的な神中心の思想に対する,人間中心の精神文芸の運動として発現してきた。それは現世における自由な生命の悦びを謳歌する人間「我」の自覚であつて,我々はそれをルネツサンス(Renaissance)と呼んでいる。我々はすでに英国のSt Bartholorhew'sHospitalにおいても,フランスのHôtel-Pieuにおいても,又イタリアの病院についても,ルネツサンス以後即ち近世に入つてからの事項に幾分触れたのであるが,今改めてルネツサンスの影響を考えて見よう。
 ルネツソサンスの運動は全ヨーロツパの,更には世界史的の問題であるけれども,それが最初に発現し又最も典型的に爛熟したのはイタリアの地であつたので,我々もまたもう一度イタリアの病院について,その影響を眺めることとしよう。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1383

印刷版ISSN:0385-2377

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