icon fsr

文献詳細

雑誌文献

病院12巻6号

1955年06月発行

--------------------

トラブル一歩手前の問題

著者: 千種峯藏1

所属機関: 1関東信越医務出張所

ページ範囲:P.7 - P.12

文献概要

 終戦後,病院の関係者として,砂を噛む様な,名状し難い不愉快な思いをさせられたのは,所謂患者攻勢と呼ばれる病院のトラブルであつた。それも殆んど療養所に限られた形であつたから,正確には,療養所のトラブルと言うべきかも知れない。職員組合による行過ぎも,種々あつたことだから,病院のトラブルは,患者攻勢一点張りという訳ではなかつた。それでも,職員組合の場合は,立場を異にする要求の衝突であつて,合法活動を基盤とする行過ぎであつたから,筋のない話ではなかつた。ところが,患者攻勢となると,日夜為めによかれと思つてやつている筈の,当の患者から,診療や看護の拒否,医師や看護婦の排斥が持上るのだから,一寸肯き兼ねもするし,又,名状し難い気持にもなるわけである。
 私自身,事態を拾収すべき立場で扱つた,患者攻勢による療養所のトラブルは,いくつかあるが,その中で,紛争が半年以上に亘つたり,社会的反響が大きかつたりした為めに,有名になつたというだけでなしに,考えさせられる問題を,数多く包蔵しておる点でも,注目すべきものは,T療養所のトラブルであつた。これから,そのT療養所の諸問題を取上げて,考えて見ようというわけである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1383

印刷版ISSN:0385-2377

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら