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食養問題についての若干の考察
著者: 村上実1
所属機関: 1愛媛県新居浜市別子病院
ページ範囲:P.45 - P.49
文献購入ページに移動筆者は栄養士でもなければ,調理士でもない。日常食養業務に関係している,一事務員に過ぎないから,献立や食事内容について論ずる資格はない。ただ,食養事務室の一隅に座して,眼に触れ耳に聞くことどもの中から,問題点と思考される事柄を抽出して『岡目八目』的所見を述べて見たいと思うのである。
古い時代の病院炊事は,いわゆる『板場さん』が中心となり,炊事婦を指揮して調理し,単に,三度三度の食事を患者に提供することを以て,能事了れりとする処の下宿屋か,寄宿舎式給食方式がとられて,別に不思議とされなかつたのである。このやり方は,今日から見れば『管理以前』の考え方に基くものであり,過渡的現象として,当然と言えば当然かも知れないが,患者にとつては,まことに迷惑至極なことであつたに違いない。尤も,その当時は完全看護は実施きれておらず,付添人をおくことも自由であつた上に,病院給食の喫食は必ずしも強制されるものではなかつたから,多くの場合,病院から提供きれるものは付添人に食わせ,患者の食事は付添人が自炊をして,本人の嗜好に応じたものを提供することによつて,一応満足していたのである。
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