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雑誌目次

雑誌文献

病院15巻2号

1956年08月発行

雑誌目次

グラフ

第6回日本病院学会総会

ページ範囲:P.2 - P.4

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国立病院最近の経営概況

著者: 尾村偉久

ページ範囲:P.7 - P.14

 最近に於ける国立病院経営資料の一端を述べて,広く病院経営関係者各位の参考に供する次第であります。第1図の通り現在国立病院は74病院,ベツト数24,300床を有し,大は780床の総合病院から,小は55床の小児科病院迄,一院平均328床の病院が全国各地に散在しておりますので,これらの総平均資料は,ある程度我が国病院の姿を一応反影していると思われます。入院と外来患者の比は,1:0.9となつておりますが,この外に外来には,病院職員,家族の患者が約1割加わりますので,大体1:1となつており,これを我が国一般病院の平均である1:2.3と比べて著しく入院に重点が置かれているのが特長であります。入院1日平均患者数は,29年度の23,029名に対し30年度は約2%増の23,600名で,外来1日平均患者数は(職員,家族を除く)29年度の19,946名に対し30年度は約5%増の21,300名で,何れも遂年増加しており,又月別1日平均患者数は,両年度共8月を最高として,1月が最低であり,その差は入院では約12%,外来では約40%の巾があつて,病院職員の業務量の調整等年間を通じての患者受入れ態勢をととのえる場合注意すべきことであります。

第6囘日本病院学会総会講演抄録

著者: 金沢賢一 ,   堀田光一 ,   高部英子 ,   片山みち ,   島内武文 ,   一条勝夫 ,   前田信雄 ,   野木一雄 ,   原幸 ,   中野豊 ,   金子敏輔 ,   武藤多作 ,   児島美都子 ,   高木忠信 ,   羽田野茂 ,   尾村偉久 ,   鶴丸広長 ,   長沢健一 ,   古賀正道 ,   吉田浩 ,   嶺井達夫 ,   田中力 ,   江口寿 ,   森基尚 ,   大塚巖 ,   田中みよ ,   鵜飼まき ,   滝野賢一 ,   落合勝一郎 ,   橋本寛敏 ,   吉武泰水 ,   棚橋三郎 ,   小池昌四郎 ,   御園生圭輔 ,   島尾忠男 ,   青木大 ,   伊佐幸雄 ,   正井英一 ,   尾原実 ,   甲田一馬 ,   尾崎嘉篤 ,   赤星一郎 ,   加来輝夫 ,   千田昭 ,   竹下たま子 ,   奥山すえ ,   西山栄一 ,   後藤真一 ,   石原信吾 ,   山中千代子 ,   藤目京子 ,   上村純一 ,   橋本正二 ,   佐々木重夫 ,   荒川顕達

ページ範囲:P.15 - P.28

1.病院給食に於ける残食と補食に就いて
 患者への給食に,その供する食事が全部喫食される様にと,給食担当者は努力を払うのであるが,給食患者の中には,主食,副食の残食を生ぜしめる者も少なくないので,この残食の程度を知り,その残食に替るべきもの或は,給食以外の嗜好的慾求に依るものとして,喫食する補食,間食と,給食に依る実際栄養摂取量の両者を,比較検討し向後の給食上に資せんと試みた。調査事項,①残食量区分,A.全部食べた。B.1/2残した。C.1/3残した。D.2/3残した。E.全部残した。②残食理由区分,主食の場合,1.病気のため,2.副食が不味いため,3.補食や間食のため,4.炊き方が悪いから,5.冷えているから,6.その他,副食の場合,1.病気のため,2.主食が不味いから,3.味付が悪いため,4.冷えているから,5.食慾をそそられないから,6.嫌いだから,7.補食や間食のため,
 比較的長期の患者400名に調査用紙を配布し,回收中の確実なもの289名(72%)に就いて考察したのである。

第6回病院学会記

著者: 今村栄一

ページ範囲:P.41 - P.46

 病院学会も6回を算えることになつた。5回までは東京で開かれていたのであつたが,今回はじめて東京を離れ大阪で開催された。このことは単に場所が変つたということだけでなく,病院学会の成長を意味するものであろう。今回の学会が盛況のうちに終始したことはこれを裏書きするものである。

診療設備基準案について

著者: 守屋博 ,   小西宏

ページ範囲:P.50 - P.51

 診療設備は近代病院の心臓である。近代医療の特徴の一つは診断や治療に際して種々の機械装置や設備が使用されることであり,いわば診療の機械化ということもできる。新しい機械装置や設備が作り出されたり改良されるにつれて医療の巾は拡がり,その内容が高められて来たことは私共のよく知るところである。今日の段階では診療設備のよしあしによつて医療内容が相当左右されるという事実を認めざるを得ない。このような実態から医療機関の関心が診療設備の充実に払われるということは当然の成行きである。近頃は素人の患者ですらX線装置は無論のこと心電図の有無や臨床検査室の設備の如何に関心を示すようになつて来た。病院で行われる医療は診療所の夫に比し,量的のみならず質的にも違うのだと大見得を切る所以は病院においてはチームを形成した医師により総合診療が行われるということの他にいろいろの進歩した診療設備が必要に応じて自由に利用できる,という利点があるからである。併し,それならば病院はどの程度の診療設備を備えるべきか,ということになるとなかなか簡単には定め難い,できるだけ高度の設備を備えたいことはやまやまであるが,精巧になればなる程機械や設備の価格も張つて来るので,思うように整備ができ兼ねるというのが現実の姿である。

Doctors' Taperecord

著者:

ページ範囲:P.65 - P.66

米国の開業病院
 日本の病院では,数から云つて,個人の開業病院が圧倒的に多い。米国では医師が個人で病院を開く事は例外であり,大部分が,公的性格の病院であるが,ここに云うProprietary Hospitalは,公的のものが.non-for-profit Hospitalと云うのに対してprofit Hospitalと云うから個人ではないとしても,非常に近い性格のものと思われる。
 この様な病院に関する文献は非常に少いが"Hospitalmanagement"誌の八月号にMarvin Rapparportによる営利病院の分析が出ているので紹介する。米国では7000の病院中,この種のものが1319あるから15%になる。しかし短期病院の中では20%以上になる。ただし,病床数は小病院が多い為に非常に少いものになる。

あとがき

著者:

ページ範囲:P.67 - P.67

 初めて東京の地を離れ去る6月大阪で開催された第6回日本病院学会は,地元会員の非常な努力によつて予想以上の盛会を納めた。所変れば品変るの譬えどおり,会の運営は土地柄もあつてか到れり尽せりのサービスで参会者に多大の感銘を与えたようであるが,内容そのものも当日夜開かれた座談会記事にみられるとおり,従来とは一段と充実したものであつた。本号は恒例により「学会号」として特集をしたので,学会に出席されなかつた方々もわが国病院管理の華々しい躍進ぶりを紙上でおくみとり願いたい。唯お断りしなければならないのは,全文を掲載する筈になつていた吉武氏の特別講演と尾崎氏の招待講演が都合で本号に間に合わず,次号に譲られることになつたことである。この他,一般講演で好評を得た東大高木氏の東大病院手術部の報告についても次号に詳報が掲載される予定である。
 病院の診療設備の規格については,医療法で大まかなことが定められているが,実際問題としては個々の病院が個々の考えで整備を進めるのが実情であつた。これはこれで夫々特徴もあらわれ面白いのであるが,その都度各病院当事者が大変苦労をされることでもあるので,何らかの基準があれば,という声が出ていた。これは又行政上から云つてもわが国の病院の水準を維持し向上を求めるためにも望ましいことであるので,厚生省では病院管理研修所をして研究を行わしめていた処最近一応の試案を得た。

座談会

第6回病院学会を終つて

著者: 神崎三益 ,   佐谷有吉 ,   島内武文 ,   鶴丸広長 ,   武藤多作 ,   吉武泰水 ,   守屋博

ページ範囲:P.31 - P.39

 本社 只今から座談会を始めていただきます。今度は会場が大阪ということで,東京を離れた学会であつたわけですが,年々会員の数も非常に増えて来て,あの講堂ではちよつと狭いくらい,大分立つておられたように見受けました。病院学会の場合には皆さんずつと会場におられまして,なかなか外に出られないというくらいにいろいろ面白い問題があつたかと思います。あまり肩苦しくなく,学会の放談というふうなことでお話しいただきます。
 司会 地元の人がまだ見えぬのでしやべつては具合が悪い点もあるわけですが,今度の会場設営については申し分がなかつたですね。佐谷先生の頑張りは大したものでした。とにかく全国的に集まつた会でしたね。東京の学会の時よりは顔が集まつていた。(笑)ほかの学会だと大阪までは出て来たけれども学会に出て来ないという人があるのだけれど,それがなかつた点がいいと思いました。「とにかく宿題報告を聞こう」といつて来られた人が多かつた点も,今年は大成功だつたのじやないかと思います。どうですかね……

病院長プロフイル・35

衆望を担う東京病院協会第二代理事長小山武夫氏

ページ範囲:P.49 - P.49

 戦後日本の衞生福祉問題がクローズアツプされて,従来の取締行政から,医療の向上,病院の在り方,公衆衛生の飛躍,更に看護教育の刷新等々,目まぐるしい位に,次ぎ次ぎと大なる発展をした。このとき,首都東京での動きは全国の関心事であつた筈だ。昭和21年初秋その初代衛生局長として登場したのが小山武夫博士その人であつた。小山氏は,内外人環視のうちに脚光を浴びてといいたい位に旧日本を文化国家へという新しい動きを衛生力面へ導く主役を演ずる立場に置かれたのである。然し経済基盤の浅い日本では衛生問題へ多額の金を投ずることの困難は火を見るよりも明らかであつたが,当時の占領軍当局はサーサーとせきたてて止まない。人これをマニトフ旋風と呼んで,手を焼いたが,氏の行政手腕は多額の予算を獲得し強力な施策によつて,首都の衛生問題のエポツクを短期間に造り上げてしまつた。後日,氏は折にふれては,予算はない,施設は悪くて動かない,マニトフ女史はやかましいので随分と困つたがネーと述懐することがあつたが,その話し振りは誠に淡々としていた。物に動じない性分であるのか。
 このように,峻しい衛生行政の障壁を突破して全国にそのモデルを示したが,衛生局5週年の記念祭を済ませたと思つているうち氏は東京都を退いて済生会東京支部副支部長,済生会中央病院長として済生会へ返り咲きをしてしまつた。小山氏は識見の人である。

診療設備基準・1

臨床病理檢査室の機能と設備

著者: 小酒井望

ページ範囲:P.52 - P.63

 昭和30年度厚生科学研究費による「病院の医療能力による分類とその設備の基準に関する研究」の一部として臨床病理検査室(臨床病理科)の施設及び設備の基準化の研究が取上げられ,A'級(500床),A級(300床),B級(200〜100床),C級(100床以下)の病院各々4,7,7,2施設,計20の実態調査の結果が得られた。臨床病理検査室の広さ,器械器具類の品目,数量については,その基準案が日本臨床病理学会幹事会に於て作製されている。勿論この幹事会案は,実態調査を行つての結論ではなく,病院の検査室を担当する同会幹事達が,日本の現状では最低この程度を必要とするであろうと云う処を経験から算出したものである。そこで私は上記20病院の実態調査の結果が,この日本臨床病理学会幹事会案と如何なる点で一致し,如何なる点で相違しているかを検討し,この幹事会案が現実から著しく離れたものであれば,それを修正しようと考えた。ところでこの幹事会案はA級(201床以上),B級(200〜101床),C級(100〜51床),D級(50床以下)に分れA'級はない。A.B.C級の分類は今回の調査のそれと大体一致している。つまり幹事会案ではA'級がないのでA'級の基準を作ることも,私の一つの目的である。
 実態調査の結果を眺めながらそれに幹事会案を対比させつつ批判をして行くこととする。

基本情報

病院

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1383

印刷版ISSN 0385-2377

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