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雑誌目次

雑誌文献

病院16巻1号

1957年01月発行

雑誌目次

座談会

新春放談

著者: 今井一男 ,   小西宏 ,   橋本寛敏 ,   小沢竜 ,   曾田長宗 ,   橋本寿三男 ,   尾村偉久 ,   中鉢正義 ,   守屋博

ページ範囲:P.2 - P.12

はじめに
 小西 最近社会保障という問題が又,脚光を浴びて参りました。その一環として医療保障の確立ということが厚生行政の重要施策に採上げられ,医療保障委員会というのが設けられましたが,その委員であられる橋本先生,中鉢先生,それから総理府の社会保障制度審議会のメンバーとして,もう少し広い範囲で日本の社会保障をどうするかということを色々研究していらつしやる今井先生,それに医療行政の当面の責任者である小沢医務局長,曾田前局長という顔ぶれにお揃い願つて,日本の病院医療の将来ということについて大いに夢を伺おうというわけです。
 今,日本の病院に内在しておる問題が沢山あると思います。それと,今申し上げた医療保障制度とからんで最初に問題を開陳して頂いたらいかがでしよう。

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タイム・スタディによる給食業務の検討と複数献立について

著者: 佐々木澄夫 ,   藤原義輝 ,   真木敏郎

ページ範囲:P.15 - P.23

1.はしがき
 病院運営における労務管理は,極めて広い意味で従業員の勤労意慾を昂揚し,これを維持するに必要な融和とか,親睦等の人間関係を対象とするものであることはいうまでもないことである。従つて最近病院管理の合理的運営を目的として,広く応用され始めたタイム・スタディ等も調査内容が拘束時間内の休憩休息時間を含む,全業務時間の実態把握であるだけに,調査対象職員の職種,性別,年令による個人的或いは集団的心理情況の勘案を誤ると,屡々その目的に対する誤解や反目にあい,結果は客観的資料を得られないのみならず,かえつて能率向上を阻む悪感情すら底流するに至るおそれがある。
 我々は前後数回にわたつて,療養所の合理的運営に資するために,看護業務のタイム・スタディを実施した経験から,全く同じ方法をもつて給食業務に科学的な検討を加える目的で,昭和29年2月に第I回の全炊夫の追跡調査を実施したけれども,結果は看護婦の場合と違つて,平素より著しく能率の向上した業務実績を得た。これは調査対象が看護婦の場合は一部の人員であり,炊夫は全員であることと,炊夫が看護婦より平均年令がはるかに高く,処世的なかけひきに長じているだけに,一斉業務内容の測定記録になると,同僚間の競争意識が先き立ち,調査期間内は平素より働きがめざましく,能率が向上したためである。

円形病院の得失について

著者: 伊藤誠 ,   小川晋 ,   大久保欽也 ,   大場則夫 ,   管野義隆 ,   栗原嘉一郎 ,   小林彰 ,   鈴木成文 ,   高野隆 ,   田中順三 ,   西野範夫 ,   前田尚美

ページ範囲:P.25 - P.34

まえがき
 最近病院建築についての研究が活溌になり,具体的な解決案もいろいろな形において提示されるようになつてきた。毎週一回ずつ集つて建築計画上の諸問題を話しあつているわれわれの研究会においても,病院建築はしばしばテーマにとりあげられ,活溌な討論がかわされてきた。そこでジヤーナリズムで話題になつている円形病院についても,われわれ自身もつとよく知つておきたいという意図から,その問題点を検討しつつあつたが,たまたま本誌の昨年7月号で坂本鹿名夫氏の「円形病院の得失」についての解説に接し,その解析がやや不十分ではないかと思われる点がみうけられたので,ここに補足の意味をも兼て「円形の得失」を,より客観的に検討してみることとする。
 ともあれ円形建築ととりくんで,着実な研究を積みかさねておられる氏の行き方には,われわれとしても大いに学ばねばならない点があるし,ことに学校建築において果しておられる成果については,相応に評価されねばならないと考えている。

病院の内部管理—イギリス中央保健行政会議委員会の報告

著者: 山元昌之

ページ範囲:P.47 - P.63

1.序
 英国では1948年に医療国家管理を断行したがこれを実施するために制定された手続とか,又この実施に関連する制度などについてその後いろいろ再検討が行われている。たとえば病院会計制度とか,又ここに紹介しようとする病院の内部管理とか,病院経営管理の重要問題が扱われて既にそれぞれ研究報告が発表されている。
 この病院の内部管理については中央保健行政会議(Central Health Services Council)が1950年3月に委員会を設けて研究に着手し,19544年8月に報告書が刊行された。(註1)この報告書は英国の病院関係者によつて高く評価され,従つて頗る重視されているが,又われわれにとつても示唆を受けるところが多いと考えられるので,ここにその内容を紹介したいと思う。ところで英国では医療を国家管理しているため,この報告書の中には独特の組織や行政機関の名が出てくるので一応前以つて英国の医療行政組織を概観しておくのが便宜であろう。

あとがき

著者:

ページ範囲:P.68 - P.68

 明けましておめでとうございます。
 本誌は読者各位の絶えざる御愛顧によつて極めて順調な発展を続け,ここに亦齢一つを重ねた。医療界は昨年に引続き本年も亦多事な年であることが予想されるが,国民保健の重要な一翼を担う病院人の結束が一段と望まれる年でもある。そこで本誌編集部としてはその具体化の一歩として日本病院協会に呼びかけ,相互の提携を講じつつあつたところ,本年より本誌を日本病院協会の機関誌として,名実共にわが国の病院の指標としての立場をとらせることになつた。これに伴い編集部の陣容の強化をはかり,協会側より塩沢総一,神崎三益両氏の御参画を得た訳である。以上のことを御報告すると同時に倍旧の御支援をお願いする次第である。

グラフ

事務長の一日

著者: 落合勝一郎

ページ範囲:P.37 - P.43

 病院の事務長は院長の統卒の下に指導を受け病院の事務管理を行う。事務管理を大別すると,金の管理,物の管理,人の管理(一部)となる。更に職制で分けると,医療事務(入院,外来,社会保険,現金出納),院内整備,リネン裁縫,給食,洗濯,汽罐,営繕(建築,工作,電気),会計,用度(購買,供給),倉庫,物品検収,庶務(庶務,自動車,警備,夜間事務),弘報,写真,電話,昇降機,秘書(人事,給与,厚生,統計,公文書)の16部門と,倉庫監理委員会,経済統計委員会,売店運営委員会の3委員会があり,この他,事務幹部会が病院管理協議会の下部組識として毎月1回開かれる。

病院長プロフイル・40

国立療養所晴嵐荘長 木村猛明氏

著者: P生

ページ範囲:P.44 - P.44

 人も知る国立療養所晴嵐荘長。島根県出身,一高東大組である。昭和2年卒業後7カ年,島園内科に臨床医学を学び,伝研で医化学並びに細菌学を研究した。旧き良き時代の典型的なおちついた勉強ぶりである。
 それ許りでない,創生時代の厚生省に入つて,防疫並に結核予防行政にあたつた。時に昭和12年厚生行政のあけぼのの頃である。

読者の声

よりよき病院を作るには

著者: 高橋操泰

ページ範囲:P.65 - P.66

 我々の日々の生活の根源である職場をよりよくするためには,どうすれば良いか,又働く一人一人が,どういう心構をもつべきか,と云う事は病院事務職員と云わず,現場作業職員と云わず,あらゆる職場にとつて,誠に大切な事柄の一つである。筆者の勤務している病院に於ても勿論,病院長はじめ事務長,等々,各上司の方々の日夜心掛けて居られる重要事の一つと思う。
 そこで「どうすれば明るい職場が生れるか」「どうしたら病院がよくなるか」と云う二つの問題に就て,皆さんの抱負なり希望なりを,遠慮なく聞かせて欲しい,そして「こうしたらよい」「ああしたらよい」と思いついた事はどんどん実行いたしましよう,と云う事で事務長名に於て,事務職員を対照とした,世論調査を行つたところ,各職員の誠に熱意のある,建設的意見が数多く集り,それらの意見を,施設に関するものとか,人事に関係する意見であるとか,或はサービス面に関するものであるとか,と云う様に内容を7つの区分に分けたものが,第1表(病院をよくするための世論調査集計表)である。

一つの試み

著者: 山田芳一

ページ範囲:P.66 - P.67

 8月25日の病院管理当直日誌に午前1時頃浮浪者風の男2名が外来診療棟玄関横のベンチに寝て居たから,厳重取締る様にと記載され,同日夜勤婦長よりも同じ意味のことが庶務当直者に連絡されたので当直者に於て調査した事実が報告された。よく調べてみると捉えてみれば我子なりの諺の通り,血液銀行部の供血者達で,これ等の人々の大部は自分の血を売つて其の日の糧に,或は家族の医療費等に充てなければならない貧しい人達であり,服装も一見浮浪者風であるから,知らない人々には浮浪者に映ずるのであろう。病院とすれば手術患者や重症者の尊い命を救う血液を供血して呉れる大事な人々であり,この人達に依つて血液銀行が運営されて居るのである。これ等の人々が病院の定めた採血単位内の供血順番を取る為に早朝から甚だしいのになると前日から泊り込みをするのである。冬は院内で焚火をする,夏に院内の芝生の上に或はベンチに受付時間を待つて居る。時には仲間同士で諍をやる。病院の金物が次々と外されて行く,時には受付に荷物を預つて呉れと云うので預るとそれがドス(短刀)様のものであつたりする。それでも採血受付時間になると配給物を受取る時の様に黙つて一列に整列する。何時の間にかそこには「ボス」が生じて整列の順番が決められて居る。この順番も時には売買される。扱受付を始めると自分の名前が直ぐに口に出て来ない。「唖ではない」。どこの血液銀行でも採血後1カ月を経過しないと採血して呉れない。

基本情報

病院

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1383

印刷版ISSN 0385-2377

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