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雑誌目次

雑誌文献

病院16巻11号

1957年11月発行

雑誌目次

宿題報告

病院の経営管理に関する調—主として人事,予算,会議,査察等について

著者: 畑道好

ページ範囲:P.703 - P.705

まえがき
 今回の「病院の経営管理に関する調」の内,日本赤十字社が担当したのは,①病院の人事に関する事項②経営についての内部会議に関する事項③院内の業務並びに事務査察に関する事項④院内の諸規程に関する事項⑤病院の予算とその執行に関する事項など主として病院の管理面に関する調査であつて,全国の病院に対して調査表を送付したのであるが回答に接したのは僅かに153病院(国立37,県立及び市町村立36,日赤及び済生会53,一般法人立24)で回答率は21%に過ぎなかつた。
 この僅かな資料をもつて全体か推測することは,洵に危険なことには違いないが,ただ国立,日赤,済生会等のように,一つの経営主体の下に全国的に経営がなされて居るものにあつては,必ずしも個々の病院の資料を集計しなくても,可成りの動向は掴み得るものと思われるので,(僅かな資料ではあるが)一応大差のない状況が掴み得たのではないかと思われる。

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歐州の病院見学と第10回病院連合国際会議

著者: 神崎三益

ページ範囲:P.707 - P.713

 世界病院連合第10回国際会議に橋本会長と御一緒に出席した序に欧州の病院見学と若干の医療事情視察をやつて来たので極く簡単に御報告したいと思う。
 往路は開かれて間もない北極圏まわりをとる事にして5月10日羽田発,約30時間でデンマークのコツペンハーゲンに着いた。

米国イリノイ州エルヂン市のVoluntary HospitalsとそのMedical Staffの在り方の研究(第1報のII)

著者: 守屋博 ,   小林玄一

ページ範囲:P.743 - P.759

 本稿は守屋の提案に依り発足したもので,米国の典型病院ともいうべきVoluntary hospitalsとそのMedical staff (病院医師)の在り方を実例を通じて究明公開し,このような病院の日本への適不適と,移植の可能性等につき皆さんに御熟考を願いたいというのがその本旨である。方法としては,質疑応答によるケイス・スタデイ方式が採られ,すなわち守屋が日本の病院人の立場から各種の質問を発し,これに対して小林が現地病院の実状を調査報告して,米国Voluntary hospitalsの実体を特にその病院の医師との関係面から露わにして行うという趣向なのである。

イギリス病院原価計算(1)

著者: 山元昌之

ページ範囲:P.760 - P.765

I序説
 1.
 わが病院界においても,ここ数年来,原価計算に注意が向けられてきたが,1951年に厚生省医務局の病院診療所原価計算要綱試案が発表されて,(雑誌病院第4巻第1号P. 40)病院界に大きな刺戟と反響とを与えることになり,以来各方面で実践的研究が盛に行われるようになつた。更にこの試案を資料として実務的に推敲された結果が日本病院協会の病院原価計算要綱となつて,1954年に発表されている。これらは,いずれも主管省か或は病院関係者の手になつたもので,従来わが国では会計学者からはその研究対象として採り上げられなかつたものである。ところが1955年になつて,神馬博士によつて初めて会計学者の手になる論文が発表され,(雑誌,企業会計1955年4月号,5月号病院の原価計算)続いて永田教授の論文が発表された。(企業会計1955年6月号,7月号,医療会計の改善について)又1956年には染谷教授の研究報告が公表された(日本医事新報1956年6月16日発行第1677号P. 75,医療報酬の決定方法と医療原価)。洵に喜ぶべき傾向である。

国立病院における結核患者の状況(第1報)

著者: 野津聖

ページ範囲:P.766 - P.769

緒論
 従来結核症患者の入院治療については,一種の専門病院である結核療養所への入院治療と,一般病院における一診療科の患者としての入院治療との両方が行われ,当然両者の間に,前者は全収容患者が結核症であり,後者は,他診療科の中の一部として結核患者が存在するという,概観的な見方からしても差異が認められるということは考えられるのであるが,何しろ252万人の要療養者に対し昭和30年においてさえも2万3千余床(第1表)しか病床がない現状においては,両者は共に同様の患者を収容し,又同様の治療を施しているのが極めて最近までの状態であつたと考えられる。
 然るに第2表に示すように,近年年を追うて病床利用率が低下し,特に昭和31年には急速な低下を示した。この結果従来までは入院申込をして数カ月,はなはだしい場合には1年あまり待たないと入院出来ないというような状態が次第になくなつて,一応入院希望の期日には,入院可能(極く一部の病院療養所を除き)となつて来た。

外来会計に金銭登録機を使用して

著者: 後藤光朗

ページ範囲:P.771 - P.776

1.はじめに
 新しい医療機械や薬の使用などにより,診療技術の向上の著しいものがあるのに対し,診療部門に直接つながりを持つ医事業務に於ては,合理的な運営を図るための一環として,患者受付やベツト管理の中央化,或は伝票制度等が取り入れられてはいるものの,これらの制度のために却つて業務量が増加し,ただでさえ忙しい医事関係業務がますます忙しくなつてきているのが現状である。このため,どうにもやりくりがつかなくなつて旧来の制度に引き戻そうと思うなどの声も耳にする位である。業務量の増加が増員ということで処理出来ればそれにこしたことはないが,それも簡単に行い難い今日,高能率の機械を使用してこれをカバーすることが考えられる。
 当国立東京第一病院では1日1,200余名の患者が来院するので,玄関から通路,待合室等に至る迄相当混雑しているが,そのために待時間が長いという悪評が高いので恐縮している。その中,医事の外来係に関係あるものとしては新患の受付と会計(医事に所属)である。診療費の支払いは,薬を貰う患者(薬治料は前納)以外は病院での最後の行為であり,これが済めば帰れるのである。今迄,あちこちで待たされ,また会計で長い列に並ぶのは苦患であるし,まして健康を損ねている人達であるから,吾々係の者は全能力を挙げて列の解消に努めながらも,何か他に良い方策はないものかと考えていた。

研修所だより

著者: 石原

ページ範囲:P.777 - P.777

 ◇何時の間にか朝晩の冷気の殊更身に泌みる季節に入つたようですが,カラツとした秋晴の高天はなかなか望まれません。現在の健康保険の点数単価問題が恰度そんな感じで,甲乙二表という厚生省当局の苦肉の考慮をこめた諮問案が中央社会保険医療協議会に提出され乍ら,去る9月14日の協議会の大荒れの結果未だその審議にも入れないでいる状態は正に今の天候そのままと言えます。病院協会の原価対策委員で同時に中央社会保険医療協議会の第二専門部会の座長もつとめている守屋前主事は,この問題に対して,せめて病院協会の意見だけでもまとめようと,昨今は例の巨躯をひつさげて文字通りの東奔西走を続けております。その精力的活躍が立派な成果を挙げることを,皆さんと共に大いに期待し度いと思います。
 ◇夏から秋にかけて官庁は何処も予算の編成と獲得に憂身をやつするわけですが,官庁の末席に連る研修所も例外でなく,吉田主事,佐藤事務官以下,月余にわたる予算工作の努力を続けておりますが,サービス官庁の仕事が国の施策上ともすれば軽視され勝ちになることは困つたことです。

あとがき

著者: 吉田幸雄

ページ範囲:P.778 - P.778

 本号は発行を従来より幾分速めることが出来ました。前月末にお手元に届くよう更に努力をして行く積りです。
 渚。本号の巻頭には,第VII回病院学会の「宿題報告」の各論として,日赤の畑氏の原著を掲載しました。現状調査によつて,まだまだ合理化の努力が足りない事が解ります。

座談会

病院のハウスキーピングの実際の問題について—特に保清関係を中心として

著者: 井上てい子 ,   芳賀千代子 ,   長谷川一子 ,   原素行 ,   落合勝一郎 ,   片山寿子 ,   近藤貴美 ,   斉藤弥吉

ページ範囲:P.715 - P.730

 原 原でございます。司会者は,余りしやべらなくてもいいので,ボワは出さなくても済むのじやないかと思つております。しかし,なかなか油断を許さぬものがありそうで,心配いたしております。
 まず,今日は,ハウスキーピングの実際の問題についての座談会ということになつておりまして,病院のハウスキーピングは,一体,どういうふうなことをやればいいのかというようなことになるわけですけれども,近頃,常識では病院ハウスキーパーの仕事が,大分解つてきております。これは,よいことだと思うのですが,その仕事が,病院によつて,かなり違うのじやないか,要するに,病院の組織の問題がありますから,あちらこちらから,病院ハウスキーピングの組織をお活願いたいと思います。

グラフ

中央滅菌材料室—都立広尾病院

ページ範囲:P.733 - P.739

 名は体を表す表顕中央滅菌材料室は中央材料室と同じ意味.その業務の第一義を明確にするために.
 設計と組織手術棟の末端出口に設置(昭和24年).この計画は近代病院の思想と一致.監督責任は手術室婦長の兼務.主任の他補助者2名が専任,その他は手術室と兼務.人員のやり繰りで人手不足が救われる.O. P. D.の午後に2〜3人のナースをパートタイムで出していたが,欠員が多くて今は空手型.

病院長プロフイル・49

日本大学駿河台病院長 永沢 滋先生

ページ範囲:P.740 - P.740

 昨秋,日本大学医学部の大学院設置に伴う研究室及び診療棟の増改築の落成式が盛大に挙行されたが,その際建物の斬新さとその隅々に迄色々と工夫が凝らされてあるのには,来会者一同驚きと感嘆の声をあげずにはおられなかつた。この建築委員長が永沢病院長であつた。
 氏が駿河台日本大学病院の院長に就任したのは昭和25年6月であり,当時板橋病院の戦災復興の建設途上で急逝られた故桜沢医学部長の後を引継いだ現比企部長が,この事業を完遂するには氏の手腕に待つ他なしとて,病後静養中の氏を懇望して引張り出したのであつた。

基本情報

病院

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1383

印刷版ISSN 0385-2377

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