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雑誌目次

雑誌文献

病院16巻12号

1957年12月発行

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宿題報告

病院事務の合理化—病院の庶務関係事項の現状と批判

著者: 石原信吾

ページ範囲:P.783 - P.794

まえがき
 本年度病院学会の宿題報告のテーマは「病院事務の合理化」であつたが,そこで追及せられた問題は,各部門とも,個々の作業事務乃至その組合せの能率化の問題よりも,寧ろそれに先行する事務内容乃至手続そのものの妥当性の問題であつたようである。私の担当した「庶務部門」では,事柄の性質上,一層そうした問題の取上げ方をせざるを得なかつた。その為,研究方向は「事務の合理化」というテーマとは若干そぐわないようなことになつたが,広い意味での「合理化」という風に考えて理解願えればと思う。
 今回の研究では,われわれは,先ずわが国病院事務の「斯くある」ところの現状を検討することから,「斯くあるべき」当為の姿を探ろうとする方法を採つた。従つて,方法論から言つても,本研究は未だ緒についたばかりであつて,問題はすべて今後に残されていると言える。本稿も,実はそうした段階に於ける研究の序論的報告に過ぎないわけである。調査病院の種類や数等については他部門の場合と同様であるから,ここには略す。

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イギリス病院原価計算(2)

著者: 山元昌之

ページ範囲:P.795 - P.802

V.原価計算計画
1.総説
 この計画を樹てる前に,本作業班は,まず次の諸点を検討した。
 1.「管理にとつて価値がある」という見地を忘れないこと。

国立病院薬剤科業務内容の実態調査と適正員人基準について

著者: 国立病院薬剤共同研究斑

ページ範囲:P.831 - P.839

 国立病院の薬剤科業務については従来屡々人員特に薬剤師の不足,事務量の過剰,設備の不充分等が訴えられ,事ある毎に中央担当官と接渉されて来たが,何分薬剤科業務の基準となるものには「医療法施行規則の1日80剤に付薬剤師1名」「日本薬剤師協会:剤の基準」「同:病院薬局薬剤師定員基準案」等があるのみで業務の標準及勤務人員特に薬剤師の適正定員要求の基礎となる確たる適切な教字がないのである。特に国立病院の我々業務には他病院と幾分異つた内容もあるので,昭和29年国立病院薬剤共同研究班が出来た機会に,薬剤科業務の内容を詳細に実態調査し,人員・設備・業努の内容・仕事の割合・各勤務員の仕事量・調剤数と人員の関係等を分析検討して,最後に我々の業務を円滑に運営し適正に管理するに必要な最低人員基準の簡明且適切と考えられる算定案を得たので報告する。

薬局の適正業務管理に関する研究—注射薬の払出しについて

著者: 大場正三

ページ範囲:P.841 - P.845

まえがき
 我々は昭和29年,30年と引続き全国の国立病院の現況を調査集計して,本年度は特に「注射薬の払出しについて」検討したので報告する。

現代病院藥局のあり方—(第1報)調剤業務実態調査研究

著者: 高部登

ページ範囲:P.847 - P.852

1.研究目的
 病院薬局の適正なあり方に於いて第一等に考慮さるべき問題は調剤であることは論をまたないと思う。調剤業務の実態調査により業務の適正化を図つてその標準を確立しそして限られた人員,限られた場所で能率的合理的業務のあり方を探求すると同時に職場の明朗化を念願するものである。

外来レントゲンフイルムの管理について

著者: 徳川博武

ページ範囲:P.853 - P.855

 外来胸部レ線フイルムの管理法式については各病院施設で種々考按されていると思われるが,昨年より今年に掛け大蔵病院で実施した胸部レ線フイルムの整理を基として一つの成案を得たので発表する次第である。
 管理の対象は手持ちの写真一万例。そうして年間の新期増加2,500例。日々のフイルムの出入れを30〜50例。各例の撰択に要する時間を平均10秒と云う事を標望した。

研修所だより

著者: 石原

ページ範囲:P.857 - P.857

 凋落の秋も終りに近く,また,残り少い今年の日数を数えては,月日の経過の余りにも早いことを歎く頃とはなりました。秋の日はつるべ落しと申しますが,本号がお手元へ届く年末へかけて恐らく,そのつるべ落しの時間の速さに,さぞ身をさいなまれ続けることでしよう。
 そう言えば,第1回長期研修会が何時の間にか終つたと思つているうちに,もう秋期第1回の事務長研修会も終り第2回の院長研修会もすぐ迎えようとしております。

あとがき

著者: 吉田幸雄

ページ範囲:P.858 - P.858

 愈々旬日で昭和32年も終りを告げます。今年は,良きにつけ,悪しきにつけ,病院にとつて多彩の年でしたでしよう。最も大きな問題は健保の診療報酬の問題でした。立場立場で主張が違つて来るのは当然ですが,病院協会と医師会が少くとも反目するようになることは,日本の医療にとつての不幸です。お互に虚心に理解し会い協力し合える為には,勿論お互の努力も要ることですが,日本の病院と医師との組合せ方に不合理があることが,このような結果を生まざるを得ない結果になるのではないでしようか。もう随分古くから課題になつて居ながら末に解決されていないこの問題について,病院側として一層の努力が必要であり,その解決こそ,日本の医療を正しい姿にする道を開くことになるのではないでしようか。本誌上来年はこの問題を再び大きく取上げて行き度いと思いますので,奮つて御投稿を願います。
 さて,今月号は,偶々薬局の原稿が多く集りましたので,薬局特集といたしました。そして,座談会としては,「病院と錠剤」の問題をとり上げました。欧米では,錠剤の使用が絶対であるに不拘,日本では,未だに原始的な一剤一剤の調剤に日を暮しているのを何とか改善したいものと思い,それぞれの権威者に集つて頂いて,問題解決の鍵を探して頂きました。

「病院」 第16巻 総目次

ページ範囲:P. - P.

座談会

日本の病院ではなぜ"錠剤"が使われぬか

著者: 原素行 ,   上野高正 ,   浅野誠一 ,   西元達治 ,   小山善之 ,   守屋博 ,   吉田幸雄 ,   浅野秀二 ,   福地信一郎

ページ範囲:P.805 - P.820

 吉田 非常においそがしいところを,時間をお割きいただきまして有難うございました。さてアメリカその他の先進国では,非常に病院で錠剤が使われているにかかわらず,日本の病院では,一部の人達には錠剤を使うべきだという意見があつても,実際に錠剤が使われていくというまでにはなつていない。それにはどこかに問題がいろいろと存在するからだと思います。そこで今夕それを爼上に上げまして御諭議を願い,その結果病院のプラスになるような方向を少しでも見付けたいと,そういうのが今日の座談会の趣旨でございます。そこで本論に入りますがこれには長い間の日本人の伝統或は習慣があるわけでありまして,したがつてその伝統には,先ず処方をお書きになる先生方に御意見がおありだろうと思いますし,またその薬をもらう患者さんには,従来の慣習をかえるというところに問題があるように思います。それから薬剤師さんのほうでも意見があるのではないか。またさらに,これをルートにのせるには,製薬会社のほうでもいろいろ技術的の面,経済的の画があるでしよう。そこで医師側では,とくに処方をたくさんお書きになります内科系統の先生においで願いまして,まず一つ御意見をうかがいたい。といいうことで東一の小山先生,浅野先生また実際にアメリカで錠剤をお使いになつた先生方から,ひとつその御体験から御意見をうかがいたい。ということで,慶応の浅野先生と慈恵の西本先生においでを願つたわけであります。

グラフ

午前11時の外来(O.P.D.at eleven O'clock)

ページ範囲:P.823 - P.829

 シヤツターを切るまえにO.P.D.の性格は,急転回しようとしている.昨日のO.P.D.は明日の病院思想にはあてはまらない.カメラは,今日の現実を写すために,外来のラツシユ・アワー11ha.mに取材した.O.P.D.には雨の日は,兎角にいけない.密柑が熟す秋の季節も亦いけない.グラフには2つの悪い函数が重り合つて写つた.

病院長プロフイル・50

都立松沢病院長 林 暲先生

ページ範囲:P.828 - P.828

 先年,現東大教授内村祐之博士が,松沢病院の院長職を兼任中の頃「松沢病院は都立の故を以て国内では屡々第二級の扱いを受けるのが,一歩足を国外に踏み出すと,世界の松沢病院であり,世界の精神病学界では第一流に評価されている」と述べて記念式の挨拶としたことがあつた。
 東京都内5,300有余の精神病床のうち,2割に垂んとする974床を占める松沢病院は,その規模の大なるを以て貴しとされるのではない。松沢病院は,その前身巣鴨病院時代からの斯界の名門であり,呉秀三,三宅鉱一,内村祐之の諸教授の学問の牙城であり,巣鴨時代には,院内に東京大学の精神病学教室が併設さかていた。多くの人材が巣鴨・松沢から斯界に送り出されたことは蓋し偶然ではなく,松沢の伝統はその源を巣鴨に発する。

基本情報

病院

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1383

印刷版ISSN 0385-2377

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