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雑誌目次

雑誌文献

病院16巻2号

1957年02月発行

雑誌目次

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日米両国に於ける病院制度の比較(上)—特に根本的に相違する諸点に就いて附.Voluntary hospital systemの日本に於ける可能性の問題に就いて

著者: 小林玄一

ページ範囲:P.70 - P.78

 守屋先生,
 お手紙拝見させて頂いて,この上もない嬉しい事に思いました。厚生省が「米国の病院とその病院医師との関係」の研究に乗り出したと云う事は必ずや多くの良き收獲を以つて結果し,日本病院改善への飛躍的な好機を作るものと予想されるからです。勿論,自動車,電話等の文明の利器をふんだんに利用し,今や各家庭の日常必需品に迄こなし切つている米国社会の病院の在り方が,その儘の形で,直ぐ様,日本のどの地域に於いても可能なものとは思いませんが,その応用の如何に依つては相当の地域に於いてその採用が出来,患者と医師と病院の三者に予期以上の利益が斉らされ得るのではないかと思います。
 その手始めとして,質疑応答の形式に依つて,こちらの病院の実状を日本の皆様に公開して行こうと云う先生の協同研究の御提案も,なかなか実際的で興味ある行き方だと思いますので,是非協力させて頂きたいものと思つています。亦,小生を故マツク先生に御紹介下さつたのも先生でありました上に,日本に於いてのみならず米国に於いても,日本病院管理学界の権威者として御高名の通つておられる守屋先生との協同研究は,小生にとつて報恩と名誉を兼ねた絶好のチヤンスであると云わねばなりません。

病院給食作業分析—配膳と食器洗浄

著者: 一条勝夫 ,   前田信雄

ページ範囲:P.81 - P.89

 給食作業は病院内業務のうちで,比較的標準化し易い部分であつて,分業,協業の利益の大きい部門である。即ち一般工場における作業分析と同様な考えによつて給食作業の能率化を計画することが不可能ではない。そこで,作業分析の一般的要領に従つて,1)給食作業の各工程を分析して,作業内容,動作の状態を調べ,2)そのうち要素作業について時間測定を行つて標準作業時間を定め,3)これらを綜合して能率的な作業工程を立案することとした。
 ところで各病院の現状につていみると,その作業内容,方式は極めて複雑であつて,病院の建築構造,設備機械の種類によつて夫々異つているばかりでなく,同一病院においても病棟配膳,中央配膳及びそれらの混合形式を同時に併用している有様であつて,それから各病院に共通する標準的作業形式,標準的作業量を抽出するのは困難に思われた。そこで,我々の研究を,給食作業のうちで比較的類型化している部分,1)配膳,2)食器洗滌の2つに限つて行うことにした。なお調査した病院は仙台市内の主要病院であつて,A病院は1,050床,B病院275床,C病院435床である。また配膳形式は何れも中央配膳を主とするが,夫々の特殊事情に従つて病棟配膳を併用していた。即ち中央配膳による供給食数は1回につきA=約700食,B=約220食,C=約260食であつた。

螢光無影灯の試作に就て

著者: 柴田義一

ページ範囲:P.93 - P.94

1.緒言
 本無影灯に就ては,本誌昨年の6月号表紙に写真で紹介され,又朝日新聞神奈川版に於ても報道されておるので,己に御承知の方もあることと存じますが,本誌上をかりて御紹介いたします。

病院の経営管理と原価計算(3)—病院実際原価計算の活用

著者: 石原信吾

ページ範囲:P.97 - P.102

 前回は原価管理に於ける計算可能性の問題に触れたが,本号では活用可能性の問題に入つて,先ず病院で現在主として行われている部門別実際原価計算の活用の問題から考察を進めることにする。

病院建築の最近の発展—第6回日本病院学会総会特別講演

著者: 吉武泰水

ページ範囲:P.117 - P.129

§1.まえがき
 この講演は戦後10年間の我が国病院建築の歩み,殊に木造病院のモデルプランが出来て以後6年間の歩みを,私共の行つた調査や研究或は設計試案等を織り交ぜてのべるようにと注文されたものです。守屋先生からこういうお話があつたのは学会の丸1年も前だつたに拘らず,生来の不精で1ト月前からやつと準備にかかり間際にまとめてお話したのですが,準備不足であつたことは今から思い返しても誠にはずかしい次第です。又この原稿も学会直後に医学書院から依頼され度々のさいそくにかかわらず今日までのばし,ようやく筆をとりました。内容は当日講演のそれから離れることなく,ただ時間の都合で省略した給食の中央化の問題を簡単につけ加える一方,各所の説明に用いた実例(スライド)やデーターは出来るだけはぶくといつた程度の加除をいたしました。

あとがき

著者:

ページ範囲:P.132 - P.132

 近来にない暖かな「寒」であつたが,節分を越えると暦の上ばかりでなく森羅万象何とはなしに春らしい息吹きを感じさせるのも妙である。
 目下国会では新しい年度の予算審議に寧日なき有様であるが,神武景気を背景とする新政府が懸案の社会保障制度,なかんずく医病保障制度の確立にどの程度の関心を示すかがわれわれの関心の的であつた。ふたをあけた際の感じでは些か失望の感がないでもなかつたが,期待が大き過ぎたせいでもあろうか。政府が予算案を編成するにあたつてどの程度民意を忖度したつもりか知らないが,一般国民の関心も社会保障制度よりは減税の方により多く向けられたことは争われない事実であろう。

グラフ

精神病院めぐり—新潟県立療養所悠久荘—静岡県立精神病院養心荘

ページ範囲:P.105 - P.115

新潟県立療養所悠久荘
 これまでの経過:昭和25年,精神衛生法が制定されたのを契機として,新潟県においても厚生省の援助を得て,高層耐火建築よりなる近代的精神病院を設立する計画が進められ,設計の原案は,精神衛生審議会において種々検討の未決定された。場所としては新潟県の略々中央に位する長岡市が選ばれ,同市の北端信濃川河畔の蔵王町地内の約10,000坪の土地が市の寄附を得てその敷地と決定されたのである。
 昭和28年5月,整地竝びに基礎工事に着手し,継続工事として目下第四期工事施行中である。

病院長プロフイル・41

国立療養所大府莊長 勝沼六朗先生

著者:

ページ範囲:P.116 - P.116

 人も知る勝沼精蔵博士の実弟であるが,この人が法学士の肩書ももつていることはあまり知られていない。精蔵博士ほどのボリユームはないが,精悍な容貌,ロマンスグレーの美髭・美髪,荘重な(法学士的)話しぶり,隙のない身だしなみ,まずは,押出し堂々たる荘長である。
 性格はやんちやで明朗で,磊落で陽性である。そして酒と駄酒落を愛し,美人の令夫人と優秀な令息(勝沼信彦博士)を愛し,勿論学問を愛し,部下250の職員を愛し,640の入院患者を愛している。そこで,人からも愛されて,愛称ロクさんという。国立療養所長のうち,このような愛称で呼ばれている人が他にいるだろうか。だからいかめしい国立療養所長会議(の殊にナイター)にはなくてはすまぬ花形でもある。

基本情報

病院

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1383

印刷版ISSN 0385-2377

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