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病院の経営管理と原価計算(4)—病院の採算成績に関する諸要因の分析
著者: 石原信吾1
所属機関: 1病院管理研修所
ページ範囲:P.247 - P.253
文献購入ページに移動病院の採算成績が良いか悪いか,即ち病院がどの位黒字であるかあるいは赤字であるかということは,普通営業比率(病院で「営業」という言葉を用いることに語幣があれば,「採算比率」といい換えてもよい)と呼ばれている数字を見れば判る。営業比率とは収益を費用で割つたもの,即ち収益費用であるから,採算成績は結局,その比率の数値が1より大きければ大きい程よく,逆に1より小さければ小さい程悪いということになる。従つて,いうまでもなく,其処では収益は出来るだけ大きい方がよく,費用は出来るだけ小さいことが望ましい。若し採算成績を検討する場合単にそれだけのことでよければ問題は比較的簡単であるといえよう。だが,実際には問題はそれだけでは済まない。先ず,収益は費用と無関係に発生するものではない。その上,その費用には収益に比例して発生する変動費と収益の多少に拘らず発生する固定費とがある。而も,そうした収益及び費用の発生条件は,病気の種類により,あるいは病院の位置,規模および設備構造等により皆異る。従つて,病院の採算成績の良否は,結局は,採算比率の分子および分母を構成するそれぞれの収益および費用要素の大小に関係するとしても,其処にはその両者の複雑な相互関係があり,その上それに更に病院の種類等の上述の第二の要因も関係して来て,問題はそれ程簡単なものではないことになる。
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