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雑誌目次

雑誌文献

病院16巻5号

1957年05月発行

雑誌目次

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国際病院連盟及び本年度の大会について

著者: 日本病院協会

ページ範囲:P.274 - P.275

国際病院連盟第10回国際病院大会
(ポルトガル共和国大統領閣下後援,リスボン,1957年6月3日〜7日)
大会通知及び予定計画
 国際病院連盟の企てによる第10回国際病院会議は,1957年6月3日から7日まで,リスボン(ポルトガル)において,ポルトガル共和国大統領閣下の後援の下に開催される。大統領は発会に際し,議場に臨席,本会議に光栄を添えられる。大会の議長は,ミラノ病院協会評議会議長,イタリア病院連盟副会長,国際病院連盟会長Avv. Luigi Colomboがこれに任ずる。
 大会の本部は,欧州において,最新をほこる教育病院のひとつHospital de Santa Maria(在リスボン)をこれにあてる。

国際病院連盟について

著者: 日本病院協会

ページ範囲:P.276 - P.277

(1)連盟とは何か?
 国際病院連盟は1931年ウイーンに始まり1940年戦争の為活動を停止した。国際病院協会の後身である。状態の変化の結果として協会を一度解散して,改めて新しい組織を作つた。1947年ルセルンの大会に集まつた12カ国の代表によつて認められた多くの国の病院協会によつて結成された。
 連盟は,独立して非政治的な,研究及び調査を行う機関であつて,(a)政府立又は非政府立の国内病院機関。(b)病院事業と関係ある協会等の組織。(c)病院事業に関心を持つ個人。(d)病院事業に興味を持つ商工業団体より成る。

E.L., Crosby, M.D.からの「病院」あての手紙

著者:

ページ範囲:P.278 - P.278

March 15, 1957
Dear Mr. Hasegawa
 As editor of HOSPITALS, Journal of the American Hospital Association, I sincerely appreciate your kind words. The inauguration of a journal by the Japanese Hospital Associa-tion is a fine step forward. Please accept my good wishes for a successful future.

「アイルランド」の病院に就て

著者: 多賀一郎

ページ範囲:P.281 - P.287

 1956年,即ち昨年の国際病院連盟総会は「アイルランド」で行われ,日本から小生が参加する事に決定したので会議の約1カ月半前に日本を出発し,先に「アメリカ」の病院を見学し5月10日に「アイルランド」の首都「ダブリン」に到着し,20日に受付をすました。56年度の病院連合総会は14カ国からの参加があり参加人員は150人で,東洋からは小生1人であつた。
 又国際病院連合総会は年に1度行われるが,隔年に見学旅行を主とするものと所謂会議の型のものとがあり56年度のものは見学旅行で5月21日から31日迄11日間の見学旅行をなしたので,「アイルランド」の病院を多数見学し得た。

WHOいよいよ本年の総会において病院問題をとり上げる—公衆衛生計画における病院の役割

著者: 吉田幸雄

ページ範囲:P.333 - P.338

I.まえがき
 去る2月17日羽田着で,WHO事務局社会及び労働衛生課長Chief of Social and occupa-tional health sectirsのDr, Bravo(Chilie人)が日本を視察にやつて来た。約一週間の滞在で,二,三の病院その他施設の視察を加えて,主に日本の病院行政に関する状況の概要を聴取して行つた。その際,本年5月にGenevaで開かれるWHOの総会で,"病院に関する専門討論会"を催すことになつているから,国際病院連盟のリスボンの総会にかねて,日本の病院専門家の参加を希望する旨の勧誘があり,日本病院協会から会長橋本寛敏先生が参加することがそのとき直ちに内定した。その後正式に本年のWHO日本政府代表は,厚生雀大臣官房統計調査部長加藤英市氏,並びに連絡参事官斎田晃氏で,顧門として橋本寛敏先生が決定した。
 偖,このWHO総会の際の"病院に関する専門討論会"というものはどういうもので,一体どのようなことが話の内容であるかわれわれに非常に興味のある問題である。勿論,橋本寛敏会長の帰国後詳細に後報告があるものと想豫されるが,幸いこの討論会の主な話題がDr.Mackintoshによつて一応用意されているので,その内容を読者に御披露し,読者も一緒にGenevaの討論会に出席した積りで,誌上を通じ御考察願つたならいろいろ今後の日本病院のあり方について勉強になるものと思い,この稿を設けた次第である。

研修所だより

著者: 石原

ページ範囲:P.339 - P.339

 或る年数を区切つて人生的行事をしたり,物事を回想したり,業績を測つたりするのは人間の普遍的習性であり,その場合大抵,1,3,5,7,10というような年数が用いられるのが普通のようですが,これには矢張り何等かの意味や根拠があるのに違いありません。昭和31年度は研修所にとつて,創設後その7年目に当る年であつたわけですが,年度を終つた今この一年を振り返つて見ますと,確かにそれが一つのエポック・メーキングな年であつた事を感じます。そのうちの主なものだけを拳げて見ても,
(1)研修所の創設以来の最も困難な時期を,その卓抜なる経倫と人格とによつてよく切り抜け,此処まで今日の研修所を育て上げて来られた坂口前所長が勇退されて万人等しくその最も良き後継者と認める栗山新所長が就任されたこと。

編集後記

ページ範囲:P.340 - P.340

 初夏のさわやかな空気が移動している。久し振りの東京の初夏であるが,東京にも鯉のぼりが多くなつた事に気がつく。世界は原水爆でさわがしいが,私ら人間の健康を扱つているものは,鯉のぼりがさわやかに見えるような世の中であつて欲しいと特に念願する。
 偖,この5,6月は,ジユネーブとリスボンで,病会院問題が国際的に扱われている。日本からは,橋本日病長,神崎副会長が勇躍出席され,日本の病院人ここにありの活躍をされている。日本の病院も,全く充分でない医療費の中で,よくもここまで歩いてこられたと思う。全国の病院の飛躍的増加,質の改善等々。勿論まだまだ理想には遙に遠いかも知れないが,終戦後のあの苦難,混乱,疲幣の有様を思い出すならば,お互に今日の発展を祝いたい。もうそろそろ自信を持つて,第二の段階に進むべきだろう。

グラフ

国立箱根療養所—高度脊髄損傷療護施設

ページ範囲:P.289 - P.295

 この療養所は,全国唯一の重度脊髄損傷のための療護施設である。
 災害により,身体を障害したものにとつては,最高の医療を受け,更に更生指導を受けて,機能の最大の恢復と,社会性の適応を得て,社会に復帰して行けることが最も好ましい。

病院長プロフイル・43

東京警察病院長 塩澤総一氏

ページ範囲:P.296 - P.296

 人国記によれば,由来信州人は自負心が高く,柔弱にして臆したるものを好まず,侃々諤々の論を唱えるのが特徴である。同じ信州といつても,「天竜下れば」の伊那の谷の人は関西文化に影響されて,山岳信州人特有の峻烈さを隠し,機略縦横,智謀に長じているとのことである。塩沢総一先生は仙台二高,東大医学部の学生生活稲田内科医局員から坂口内科の講師,助教授としての学究生活,東京都医師会長,日本医師会副会長の医政関与欧米視察等の環境によつて,文化人としての今日の東京警察病院長になられたのであろうが,その体内には,信州,伊那谷,飯田出身の血液が今日も流れているようである。
 先般病院の改築に際して,「屋上には患者運搬用のヘリコプターが離着できるようにしよう」と,言い出された。どうも院長は大きなことを言つて困るというのが周囲の声であつた。此頃院内を改装し,病室の壁を塗り,床を張り,新しい検査,治療の器械を買込むのをみて,苦しい財政の中で何をやるのか知らんと雑音が先生の耳にも入つてくるらしい。

座談会

イギリスの病院制度

著者: 大村潤四郎 ,   曾田長宗 ,   守屋博 ,   田中昭夫 ,   橋本寛敏 ,   岩佐潔 ,   小西宏 ,   神崎三益 ,   吉田幸雄

ページ範囲:P.299 - P.315

 吉田 御指名によりまして私が司会をさせて頂きます。
 日本の社会保障制度,特に医療保障については,先程の社会保障制度審議会の勧告もございますが日本の医師は現在の医療保障については必ずしも心から協力しているような形でないのでありましてイギリスのナシヨナル・ヘルス・サービスは比較的長い間の歴史の結果とはいえ,医者も協力し得るような形の保障制度が出来たのは皆様御承知の通りであります。そこで我々自身が日本の病院を考える場合に,病院の在り方そのものが医療の本質から行つての在り方と杜会保障制度における病院の在り方の両面から考えなければならないと思うのです。イギリスのナシヨナル・ヘルス・サービスが果して日本に適合するかどうか,という問題まではなかなかいろいろの問題があると思いますが,少くとも日本の病院に携わるものが,向うの病院が医療制度の中でどういうような活動をし,又,ナシヨナル・ヘルス・サービスという社会保障中でどういうような裏付けを受けて活動が出来ているかというようなことを知るのは非常に興味がある問題だろうと思うのです。

診療設備基準・7

病院薬剤施設及び設備基準案

著者: 大場正三

ページ範囲:P.317 - P.320

 昭和30年度厚生科学研究費による「病院の医療能力による分類と,その設備の基準に関する研究」の一部として「薬局」の施設及び設備の基準化の研究が取り上げられた。このことは己に日本薬剤師協会調剤技術委員会で全国病院薬局に関し調査検討していたので,この基準案作成に関し助力を依頼したところ,調剤技術委員会は快諾して特別委員会を組織し,更に再検討して,これが作成に一臂を貸与してくれたことを記録しておく。
 この基準案作成にあたり「薬剤施設」の名称を試用することとした。「薬剤施設」とは通常病院り「薬局」と称せられるものをいうのであつて,薬事法第2条第3項の「薬局」と混同し易いために適当ではなく,また医療法にいう「調剤所」の名称も,その取扱業務内容が,調剤以外の相当広範にわたる実情に鑑みて不適当と考えたからである。併せて御検討を願い度い。

基本情報

病院

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1383

印刷版ISSN 0385-2377

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