icon fsr

雑誌目次

雑誌文献

病院16巻7号

1957年07月発行

雑誌目次

--------------------

米国イリノイ州エルヂン市のVoluntary HospitalsとそのMedical Staffの在り方の研究(第1報)

著者: 守屋博 ,   小林玄一

ページ範囲:P.414 - P.422

 本稿は守屋の提案に依り発足したもので,米国の典型病院ともいうべきVoluntary hospitalsと,そのMedical staff (病院医師)の在り方を実例を通じて究明公開し,このような病院の日本への適不適と,移殖の可能性等に就き皆さんに御熟考を願いたいというのがその本旨である。方法としては質疑応答によるケイス・スタデイ方式が採られ,すなわち守屋が日本の病院人の立場から各種の質問を発し,これに対して小林が現地病院の実状を調査報告して米国Voluntary hos-pitalsの実体を特にその病院医師との関係面から露わにして行こうという趣向なのである。
 実例としてエルヂン市の病院が選ばれたのは小林がそこの病院に勤務していて実状を調べるのに便なためである。後程詳説するであろうように,当市は米国の都市としても比較的裕かな街でありこのような場所の病院の在り方がそのまま日本のどの都市へも移殖可能なものであろうなどとは思わないが,ただその人口が日本にすると丁度鎌倉市位のもので米国に於いても中等位の街であるということや,実例にして行こうという2つの病院が150ベツトと200ベツトという恰好なサイズであるという事情から,アメリカの病院の実状を知る上にも日本へのその移殖の問題を考えて見る上にも好適の1つではないかと思う。

町の93床国保病院建築の経験

著者: 木下博

ページ範囲:P.455 - P.458

まえがき
 私は3年前から点在する部落を集めて人口3万有余の町の病院で診療に従事して来たが,たまたま病院を全部新しく建築し直すこととなつて,その敷地の撰定から病院設計に至るまで私に任された形になつてしまつた。
 臨牀医である私にはその才もなく,一時は困惑してしまつた。

タイム・スタデイによる洗濯業務の検討

著者: 佐々木澄夫

ページ範囲:P.471 - P.477

1.はしがき
 病院洗濯は物理的,又化学的な方法によつて衣服についている細菌,汚れを除くと共に,純消費生活者である患者を対象としているので,特に地質材料に影響のないよう考慮しなくてはならない。又患者は一般家庭人とちがつて,衣服寝具を24時間の生活の場としているので,洗濯状態とか洗濯運営の適否が患者心理に及ぼす影響の大きいことを思い,洗濯作業に当つては暖い血のかよつた,患者に対するいたわりの気持を常にもつことによつて,患者の療養環境の清潔を保持し,患者の療養効果をより以上にあげることが病院洗濯の目的である。
 又地方管理面からは保有機械を最大効率に使用し,最少の資材と最少の人員でもつて,しかも業務従事者に無理をさせることなく,最大の能率と効果をあげることが運営の目標として当然要求されるわけである。1日に洗濯機を1回乃至2回程度しか運転していないとか,1ワツシヤーの洗濯時間に2時間を要していたとか,低温用の洗濯方式に高温用の石鹸を使用していたとか,使用石鹸量が洗濯重量に比較して多過ぎるとか,脱水機の回転数が低下しているために脱水率が悪いとか,或いは回転乾燥機の乾燥に1時間を要していたとか,看護衣1枚のアイロン仕上げ時間に20分を要していたとかいう事例はしばしば見受けられることであつて,洗濯業務の科学的管理が最近重要視される所以である。

レリーフと壁画

著者: 山村輝雄

ページ範囲:P.479 - P.479

レリーフについて
 このレリーフは,社会福祉法人恩賜財団済生会岡山病院の正面,高さ50尺,巾20尺の壁面に取付けられたものである。
 製作者は,彫刻家,渡辺義知先生である。じか付けの製作ではなく,粘土,石膏,の過程を経て白セメントを以て,150有余の鉄筋コンクリートの型を造り,之を壁内の鉄筋(病院は鉄筋コンクリート建築)に熔接し,壁面と型との空間にモルタルを流し込んで密着せしめたものであつて,総重量は12トン余である。渡辺先生が1年6カ月を要して製作し,更に先生自ら工事人を指揮して取付けるのに凡そ3カ月を要した極めてむずかしい工事であつた。

あとがき

著者: 吉田幸雄

ページ範囲:P.480 - P.480

 愈々第VII回の日本病院学会を開催することになりました。本年の学会は,宿題報告として「病院事務の合理化」が発表されます。これは各団体合作の労作的報告で,それぞれ組織力を使つた貴重なるものであり,合理化の方向で現状を調査批判したものです。今後の合理化にはく車をかける画期的なものといえましよう。
 今回は特別講演として,日本病院協会の会長,副会長,看護協会長が,それぞれ国際会議に出席活躍された御報告で,世界の動きと日本病院の将来に対し方向を示唆するものが多い,今回学会の特色ある講演が揃いました。シンポジウムは,新しい試みですが,病院「コンクール」という形になりました。私的病院が含まれていませんが,具体的に御参考になる点が多いものでしよう。その他一般演題,展示会等益々病院経営と管理の研究と知識の普及が進んで参り,本誌からも祝福の言葉を捧げます。

座談会

国保病院の運営を廻つて

著者: 飯田博 ,   日吉藤平 ,   奥村幸吉 ,   浅野勝治 ,   二階堂惣四郎 ,   志田晴雄 ,   斉藤泰 ,   長村信 ,   守屋博 ,   大村潤四郎 ,   吉田幸雄

ページ範囲:P.426 - P.443

 吉田 きようの司会をやらせて頂きます。
 「従来「病院」では主として大きな病院の問題が扱われている傾向が多いので,中小病院の問題をもつと取上げてゆく必要がある」という話が編集会議ででまして,大いに今後取上げようということになりました。そこで国民健康保険の病院というものは地方の中核的な中小病院でございまして,ますますこれは増えておりますし,将来の日本の医療に大きな意味を持つていくものだろうと思いますので,先ず国民健康保険の病院をとり上げることになり,病院の編集委員と国保病院の先生方といろいろお話合をしてみようというのが,きようの座談会でございます。

グラフ

夜の病院

ページ範囲:P.445 - P.451

病院長プロフイル・45

大阪府済生会中津病院長 間島良二博士

ページ範囲:P.452 - P.452

 今年7月,ロンドンで開催される国際肢体不自由者福祉協会第7回世界会議に日本代表として出席予定の大阪府済生会中津病院長間島良二博士は夏でもネクタイをしめ,上着をきる英国紳士。チヨッキなしにスェーターを着る最近の流行を嫌い,職員の服装にやかましい。上京の都度,余暇をみては百貨店を廻り,私財を投じて受付嬢の服を買つて帰り,事務員,下足番の制服の色あい,生地を自ら選定し,デザイナーを呼びつける入念さである。
 医者には珍らしく計数に明るく,病院経営の権威として名声が高い。医療法や労働基準法を順法すれば,現在の健康保険では綜合病院の赤字は免れず,単価或は入院点数の改正が叫ばれているが,毎年病院格付監査で,診療,入院給食,監理の四部門を通じて減点僅かに数点という成績。いつも満床で入院希望者のベットのやりくりに総看護長を督励し,広い廊下は外来患者で混雑している。

基本情報

病院

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1383

印刷版ISSN 0385-2377

雑誌購入ページに移動

バックナンバー

icon up
あなたは医療従事者ですか?