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文献詳細

雑誌文献

病院16巻8号

1957年08月発行

文献概要

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放射線科と専屬ベツド

著者: 守屋博1

所属機関: 1病院管理研修所

ページ範囲:P.495 - P.497

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 レントゲン教授によつてX線と呼ぶ放射線が発見されたのは,今から60数年前である。X線が医学に応用されたのは,発見後間もなくであるが藤浪教授その他がX線の専門家として日本の医学にこれを移入したのは大正の始めである。本当に大学に専門講座が普及したのは,極く最近の事である。大学以外の一般病院でX線専門医を有するのは数える位いしかない。
 X線の医学への応用は,二つに大きく分けられる。一つは写真撮影として診断に用いられ,他は細胞に照射する事による治療である。この様な新しい発見による新武器は他の場合と同様,各科の主治医によつて,別々に所有され利用されたのである。事実肺の写真は結核医によつて,関節の写真は整形外科医によつて,最も深く研究された。微細な影の意味は,それぞれの臨床経験の深い専門医によつてのみ,その意味がつけられるからである。治療の面においてもまずその主導権は各科臨床医によつて開かれるのが普通である。殊に婦人科においてはこの傾向が強く,放射線科以上の設備を有し研究の全勢力を,放射線に集中すると云う教授もあらわれた。これはむしろ放射線を利用する婦人科医ではなくて,婦人科を対象とした放射線医と云うべきであろう。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1383

印刷版ISSN:0385-2377

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