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雑誌目次

雑誌文献

病院17巻1号

1958年01月発行

雑誌目次

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新しい年に前進すべき方向

著者: 橋本寛敏

ページ範囲:P.5 - P.6

 向上前進の希望に燃え,心を新にして新年を迎える。
 われわれ病院医療にたずさわるものの将来にかける望は何だろう。

綜合病院における未熟児室のあり方

著者: 山内逸郎

ページ範囲:P.7 - P.11

 産科と小児科,この二つの異つた領域の間にあつて,不幸にして何等なすことなく放置されていた小さな「いのち」——未熟児に対しても,最近になつてようやく近代医学の温い手がさしのべられ様としている。何故今迄この様に長い間,この未熟児が産科医からも,小児科医からも見放された存在であつたのであろう。まことに不思議な話であるが,野放しになつていたのは実は未熟児ばかりではなかつた。すべての新生児が産科医からも小児科医からも,ほとんど「医学的な取扱い」はうけていなかつたといつても過言でない。加うるに,さらに重要な事実は,この新生児期こそは小児のあらゆる年令層を通じて,もつとも死亡率の高い時期である。驚くなかれ,満一年未満の死亡の半分は,一ケ月未満の死亡で占められている。この人世の長いあゆみの道中で,もつとも危険なこの時期--新生児期こそは,もつとも注意深く医者に見守られてしかるべきであつた。もしこの新生児達に物いう口をあたえたら,さぞ声を大にして産科医と小児科医の怠慢を責めたてたことであろう。勿論我々として返す言葉もないが—何故かくも重要な新生児期が不幸にして真空地帯になつていたか。その理由は簡単である。産婦人科という科はあるが,産小児科という科はなかつたからである。言葉をかえていえば,勿論赤ん坊は産科医の手でこの世に生をうける。生れた児は産科医の監督下にある母親の近くにおかれる。

産科病棟の設計と運営

著者: 小倉知治

ページ範囲:P.13 - P.14

 今般当院の産科病棟新築に当つて,特に次の諸点に留意して設計した。すなわち,清潔部門の独立ということと,少い定員での助産と看護という2つの矛盾した事項を如何に調整するかという点であつた。またその運営の実際に当つて,如何にしたら日々の分娩数を平均化せしめ,また空床や過床を避けることが出来るかに就いて検討を試みた。

新生児室と私—特集「入院分娩」に寄せて 新生児室開設前後の「広尾病院」だけの世界の話

著者: 原素行

ページ範囲:P.15 - P.18

I.病院管理者の立場
 筆者は内科医である。それが病院長になつて,病院管理の責務を負う立場になれば診療管理に身を入れて,診療水準の向上に努めることは当然である。従つて,内科医の院長は新生児室に関しても,「おれには興味がない」とは云えない筈である。然し,内科医の院長には,新生児室の難問題はいくら勉強したつもりでも,やはり所詮耳学問程度の付け焼刃であるから,所信を述べるわけにはいかない。ここでは所信ではなく,実在した話を簡単な記録として,お目にかけたい。
 新生児室には,幾多の意見も,また厳しい批判もあることは申すに及ばないところであるが,先ず第一に,新生児室が欧米に於ては最早や旧時代のものとして顧られぬということを批判のための批判とすることが,時たま目についた。欧米の風潮に左右されて礼讃となつたり,懐疑的と化したりする底の浅さが悲しい。筆者はこう思う。種々な因子を含む問題は簡単に割り切り得ないものである。歴史は繰り返されるというが,その間に必ず進歩が伴つている。その一コマを担当するのがわれわれの責任であろう。

入院分娩の実態

著者: 小畑先生 ,   河田茂 ,   糸井一良 ,   西崎省三 ,   秋葉照夫 ,   渡辺二郎 ,   竹沢その

ページ範囲:P.21 - P.29

兒童福祉法による助産施設

著者: 轟秀雄

ページ範囲:P.31 - P.33

 児童福祉法第1条に「すべて国民は,児童が心身ともに健やかに生れ,且つ,育成されるように努めなければならない。すべて児童は,ひとしくその生活を保障され,愛護されなければならない」と,児童福祉の理念をうたつているが,児童の福祉の目的を達成するためには,特に収容保護を要するような母子のための福祉施設が必要となる。そのため児童福祉法第7条で,助産施設,乳児院,母子寮,保育所,養護施設,精神薄弱児施設,盲ろうあ児施設,虚弱児施設,肢体不自由児施設,教護院等と色々の母子のための収容保護施設が規定されている。このような施設のうち助産施設とはどんなものであろうか。
 助産施設については,児童福祉法第36条にその目的を次のように規定している。

イギリス病院原価計算(3)

著者: 山元昌之

ページ範囲:P.34 - P.38

医療機械器具
(i)患者用品
(a)賦課されるべき適当な部門別勘定を示すように記録を整理しなければならない。

研修所だより

著者: 石原

ページ範囲:P.79 - P.79

 本号がお手元にとどく頃には,皆さんには,既によい年を迎えられて,新しい年の,希望に満ちたスタートを切つておられることと思いますが,診療報酬単価問題をはじめ,われわれの前に山積する諸問題が好首尾に展開して,この年がわが国の病院にとつて最も幸多い年になりますように願わずにはおられません。
 さて,研修所では,10月以来4回の短期研修会が殆ど息つくひまもなく立て続けに開かれて来ましたが,その最後の院長研修会も無事に終了して,師走の街のあわただしさを他所に,漸く静かな年末を迎えようとしております。これで,短期研修会は79回。この1月の追加分を加えて,本年度中に通算80回に到達するわけです。長期研修会は去る9月の分までで17回。受講者数合計は短期で4,220名,長期で232名となります。思えば,よくもそれだけの研修会を開き,又よくもそれだけの病院の方々が参加下さつたものと,今更ながらの感概を禁じ得ません。これに対して,われわれ研修所としましては,本来の研究内容を一層進めることは勿論,例の受講後の感想録の御意見等を参考にしまして,研修会のやり方についても漸次出来得る限り改善して行こうと努力しております。そういう意味で,今回は,秋期4回の研修会の感想録にあらわれた研修所に対する御註文等につき,以下若干御紹介をして見度いと思います。

あとがき

ページ範囲:P.80 - P.80

 明けましておめでとうございます。年が明けてこの「病院」も数え年10才になりました。そしてこの正月号は数えると創刊以来104号ということになります。思えば,終戦後の混乱の中で誕生し,小さな灯を点じて以来唯一の灯台の役目をはたして来たように思います。昨年は日病の機関誌の一つとして発展し,百号に至つて内容の充実を計画し,この正月号は一応その企画に従つて編集されました。未だ内容が熟したとはいえませんが,従来発刊以来の委員は顧問となり,新に新進気鋭の幹事群がデビユーして,実際の編集に当ることになりました。各幹事は,全体の編集についてそれぞれ担当の分野で協力し,そして各担当の分野の参考資料を毎月掲載して頂くことになりました。今年からはこの方針で内容の充実に努めて益々本誌の使命遂行に努力して行く積りですから御期待願います。

グラフ

入院分娩—産科病院と綜合病院の産科施設

ページ範囲:P.41 - P.47

病院長プロフイル・51

東 陽一先生—九州厚生年金病院長

ページ範囲:P.48 - P.48

新しい病院新しい院長
 長兄龍太郎氏(茨城大学長),次弟俊郎氏(順天堂大学内科部長)と共に東三兄弟と云えば医学界ばかりでなく,スポーツ界でも知らぬ人のない名門である。
 人正11年東大卒業後,近藤外科で一般外科を,外遊後九大神中教室の助教授として整形外科を,引きつづき熊本大学の外科教授として順調な経歴と色々な研究を残している。そのままでいれば,平凡な一教授で終つていたであろうが,大東亜戦は他の多くの教授の場合の如く氏の身辺にも大変動をもたらした。南京の軍病院長,マカツカルの海軍司政長官等,大東亜を股にかけて活動したのが新しい社会に飛び込む踏切台になつた。

座談会

入院分娩をめぐつて

著者: 原素行 ,   後藤昭代 ,   吉田幸雄 ,   鈴木隆子 ,   竹谷アサヨ ,   鈴木八重子

ページ範囲:P.49 - P.60

 吉田 御承知のように,最近入院分娩が非常に増えて参りました。大変結構な事ですが,各綜合病院ではこの取扱いについて,院長以下必ずしも理解が充分でないと思いますので,今夕は,指導的な助産婦さんの立場からいろいろ入院分娩について御意見を伺い,病院管理上の参考にしたいと思いました次第ですから宜敷願います。
 原 今日の座談会では,特に現場や技術上で大切なことをどしどしお話し下さい。それが診療管理の役に立つ。未だに病院管理は事務管理のことだと考えている人が少くないように見えるが,それでは片手落ちである。吉田さんの平素の主張もこんな風ですネ。

固定欄

診療,他

著者:

ページ範囲:P.61 - P.78

各種診療センターとは?
 最近「人間ドツク」を初めとして「高血圧センター」「心臓センター」或いは「癌センター」……いろいろの名称のセンターが大はやりである。一体センターとは何を意味するものだろうか?診療にたずさわつている人達は,この間題をどういうふうに解釈し,かつ運営して行こうとしているのかという点について,機会ある毎に当事者に伺つたり,また学会等の発表について吟味しているうちに,多くの疑問を生じてきて,この問題はやはり今後の診療上の重要な課題として病院内では活溌なdiscussionをして貰わなければならないと痛感した。
 ここに話題を提供するので,一つ皆さん方から御意見を拝聴したいと考えている。

基本情報

病院

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1383

印刷版ISSN 0385-2377

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