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雑誌目次

雑誌文献

病院17巻5号

1958年04月発行

雑誌目次

特集 病院事務の合理化

病院事務の合理化

著者: 神崎三益

ページ範囲:P.323 - P.323

総括
 我国医療の根幹である病院医療に与えられた命題は,最新,最上の医学,医術と最良のサービスとを以て国民に完全な医療を与える事であり,進んでは疾病を未然に防止する予防医学的活動と患者の幸福を守る社会医学的活動をなすことである。
 その目的達成には積極的にこれに要する経費を社会に要求すると同時に,与えられた経費を最も効率的に活用しなくてはならない。

病院の経営管理に関する調—主として人事,予算,会議,査察等について

著者: 畑道好

ページ範囲:P.324 - P.326

まえがき
 今回の「病院の経営管理に関する調」の内,日本赤十字社が担当したのは,①病院の人事に関する事項②経営についての内部会議に関する事項③院内の業務並びに事務査察に関する事項④院内の諸規程に関する事項⑤病院の予算とその執行に関する事項など主として病院の管理面に関する調査であつて,全国の病院に対して調査表を送付したのであるが回答に接したのは僅かに153病院(国立37,県立及び市町村立36,日赤及び済生会53,一般法人立24)で回答率は21%に過ぎなかつた。
 この僅かな資料をもつて全体を推測することは,洵に危険なことには違いないが,ただ国立,日赤,済生会等のように,一つの経営主体の下に全国的に経営がなされて居るものにあつては,必ずしも個々の病院の資料を集計しなくても,可成りの動向は掴み得るものと思われるので,(僅かな資料ではあるが)一応大差のない状況が掴み得たのではないかと思われる。

病院の庶務関係事項の現状と批判

著者: 石原信吾

ページ範囲:P.329 - P.339

まえがき
 本年度病院学会の宿題報告のテーマは「病院事務の合理化」であつたが,そこで追及せられた問題は,各部門とも,個々の作業事務乃至その組合せの能率化の問題よりも,寧ろそれに先行する事務内容乃至手続そのものの妥当性の問題であつたようである。私の担当した「庶務部門」では,事柄の性質上,一層そうした問題の取上げ方をせざるを得なかつた。その為,研究方向は「事務の合理化」というテーマとは若干そぐわないようなことになつたが,広い意味での「合理化」という風に考えて理解願えればと思う。
 今回の研究では,われわれは,先ずわが国病院事務の「斯くある」ところの現状を検討することから,「斯くあるべき」当為の姿を探ろうとする方法を採つた。従つて,方法論から言つても,本研究は未だ緒についたばかりであつて,問題はすべて今後に残されていると言える。本稿も,実はそうした段階に於ける研究の序論的報告に過ぎないわけである。調査病院の種類や数等については他部門の場合と同様であるから,ここには略す。

病院会計事務実態調査について

著者: 矢壁昭文

ページ範囲:P.341 - P.349

一.はじめに
 一般に事業を行つている企業体は,その企業体の持つ目的を遂行する為に何等かの経済的価値を消費する。その経済的価値の消費は何等かの手段を以つて補われねばならない。即ち消費された価値の損失に対応する報酬を得る。
 このように企業体の経済(運営)に於いては損失(以下狭義の意に於ける支出と云う)と収入とは直接に関係を持つ密接不可分なものとなつて来る。支出は収入となり又収入は次の支出と互に牽制し合う関係を持つて居る。

用度業務

著者: 尾口平吉

ページ範囲:P.351 - P.362

はしがき
 本調査は第7回病院学会の宿題報告「病院事務の合理化」の一部として,全国都道府県立病院協議会が担当して用度業務について調査したものである。
 全国の病院に調査を依頼したが回答を寄せられた病院数は下記の通りである。

医事—病院事務の合理化

著者: 若生胞吉

ページ範囲:P.365 - P.375

まえがき
 今学会の宿題報告は国立病院が担当し,尾村前国立病院課長(現厚生省環境衛生部長)の御指導を得て,国立病院事務能率改善共同研究班(班員は国立病院課,病院管理研修所と東一,東二,大蔵,世田ケ谷,横浜,埼玉の各国立病院である)によつて共同研究に当つた。
 病院医事業務が何如にあるべきかということは,病院管理の立場から深い関心が寄せられている問題である。この問題の調査研究に当つて研究班は,先ず現在の日本の病院における医事業務がどのように行われているか,その実態を調査し,現況を把握し,しかるのちその実態の上に立つて医事業務について斯くあるべしの線を出すべく方法をとつた。そこで国立,県立,市町村立,日赤済生会,会社法人その他の6つの経営主体別にこれを分け,更にこれを大・中・小の規模別に病院を選定区分し,調査用紙を発送し回答を求めたのであるが,その結果は第1表に示す通りであつた。回答をよせられたのは全体の40%即ち132病院であつて客体数としては必ずしも少なくはないのであるが,経営主体別,規模別に病院数が区々で甚だしい不均衡が生じたために必ずしも満足すべき結果が得られたとは思われなかつたが,このような調査としては,この程度にとどまるのも止むを得ないものと考えられる。

病院の統計

著者: 東義晴

ページ範囲:P.377 - P.380

はしがき
 病院に於いては,当然"診療"がクローズアツプされると共に,従来からの"医は仁"の観念がそのまま経営面への関心の低さとなつて現われて来たためか,統計についても,他の事務管理と同様常に第二義的に考えられて来たようである。然し乍ら,あらゆる経営に於いて,現在及び将来に於ける運営上の,計数的分析乃至企画の根本をなすものは各種各部門に亘る綿密な統計であることは今日既に常識である。そこで,昨年開催された第7回病院学会の宿題報告"病院事務の合理化"に於いても,我々はその調査研究の一部門として統計を採り上げ,病院管理の立場から病院統計が如何にあるべきかと云うことを考えるに当つて,先ずその現状を把握することによつて将来への第一歩を印し,大方の御批判と御協力を得て最終的な結論を得たいと念願するのである。
 なお,調査に当り,他の部門と同様,経営主体別,規模の大小別に集計したのであるが,この部門については,経営主体別には有意の差を認められなかつたので,総て規模別に本稿をまとめた。

座談会

病院事務の合理化をめぐって

著者: 吉田幸雄 ,   守屋博 ,   矢壁昭文 ,   若生胞吉 ,   尾村偉久 ,   石原信吾 ,   尾口平吉 ,   東義晴

ページ範囲:P.381 - P.397

 吉田 きようは,お忙しいところ,有難うございました。昨年の宿題報告の担当者としては「総括」の日赤の神崎院長「経営の管理」の日赤本社の畑医務課長が御都合で御欠席になりましたが,外の担当の方々は御集り頂きました訳でそれに間の手として守屋先生と私が出席させて頂きました。
 さて,昨年の病院学会の宿題報告の「病院事務の合理化」について,全報告を本誌に分割してのせる積りでおりましたところが,いろいろ特集号が出た関係で本年学会までに全部を掲載する見通しがたたなくなりましたので,一括して宿題報告の特集号として増刊することになりました。この方が,この画期的な宿題報告を纏めて見て頂ける解です。ついては,これだけのお仕事を纏めるのに,お書きになつたもの以外にいろいろの問題に気づかれたと思います。そこで,そういう問題を中心にしまして,各担当の方々と一緒に「病院事務の合理化」という問題を中心にしてお話合いしてみたい。こういうのが今日の座談会の趣旨でございます。

基本情報

病院

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1383

印刷版ISSN 0385-2377

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