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文献詳細

雑誌文献

病院17巻7号

1958年06月発行

文献概要

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扇型構造を取り入れた病院の設計

著者: 安田幸男1

所属機関: 1樋口胃腸病院

ページ範囲:P.525 - P.529

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1.円型病院の批判
 円型建築は近来建築界で新しい関心が持たれて来ましたが此の形式を病院建築に採用したものも可なりあり其の代表的なものに(1)豊岡公立病院診療棟(2)松江赤十字病院病棟(3)武蔵野赤十字病院内伝染病棟を掲げる事が出来ます。此等の3つの病院(第1図)は一口に円型病院と云つても用途建築構造に於てそれぞれ特色があり構造に於ては(1)(3)が円筒型で(2)が環型でありますし用途では(1)が診療棟で(2)(3)が病棟であります。然し此の形式を採用した主な理由は何れも敷地面積,建築費の制約と管理の合理化の為とされて居ります。然らば果して此の構造採用により所期の目的が充分達せられて居るかと考える時未だ多くの疑問が残されて居る事が解ります。例えば(2)の環型病棟は長方形病棟を丸く接続したものであり同じ利用面積の長方形又は工字型病棟と其の所要敷地面積及び建築面積を較べれば両者共殆んど同じ面積を必要とし何んの節約にもならずむしろ廊下が曲線である事と空間が扇形である事による交通や空間利用上の損失の方が大きく浮び上つて来て強いて此の形式を採用された理由の判断に苦しみます。又(1)の円型診療棟は大した欠点もない替りに大した利点もなく唯面白い建築と云うに止ります。(3)の円型病棟に於て始めて幾つかの利点が認められますが其れと同程度の欠点を有する事は次の通りであり其の得失の何れが大きいか簡単に結論が出ない状態であります。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1383

印刷版ISSN:0385-2377

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